判決報告:ベトナム未公開株ファンド事件の控訴審判決

1 控訴審での逆転判決
ベトナムの未公開株へ投資を謳うファンドに関する事件について,東京高裁で判決が出ましたのでご報告いたします。

本事件では,複数のベトナム未公開株ファンドが組成され販売されましたが,そのうち一つは信託会社から販売されました。
その後ファンドは破綻し信託財産管理人が選任され,その調査の過程で,実際にベトナムの未公開株は購入されていたこと,そのうち一部は上場していたことなどが明らかとなりました
要するに,本件は全くの架空取引ではなかったという事案でした。

一方で,原告の手元にあった関係資料を参照にしつつ,その他裁判(立証)の過程で,以下の事実が判明しました。
①資金の流れについての原告が伝えれれていた事実と異なっていたこと
②約3億円の資金の使途が明らかではないこと
③株式購入代金として使用された金額は,出資金として集めた金額の1/5に過ぎないこと

東京高判平成29年4月26日(高裁判決)は,上記①乃至③について,被告らは,「投資家にとって極めて関心が高いと考えられる実際の未公開株式購入額やこれ直接影響する高額の仲介手数料の存在及びその額について何ら説明がなかったのである」から説明義務は尽くされていなかったとして,被控訴人らの行為に違法性を認めました。
また,勧誘資料等の客観的資料を踏まえても,出資金の2割程度に過ぎない株式では利益を生じる可能性は極めて低いといわざるを得ないともしました。

上記③株式購入代金として使用された金額が出資金の1/5に過ぎないという事情からは,本件ファンドは損益を出資者に適切に帰属する前提を欠いているといえ,金融商品として備えるべき条件を欠いたものであったといえます。
高裁判決はその点について正解し,被控訴人らの行為に違法性を認めたことは評価できると思います。

実は,当該事件,原判決(一審の判決)は,原告の請求を棄却しました。
理由は,以下のとおりで,到底受け入れがたい不自然,不可解なものでした。

株式購入代金として使用された金額が出資金として集めた金額の1/5であったとしても,そもそも出資金の全額ないしそれに近い金額がベトナム国内の未公開株式の購入代金に充てられることは当初から予定されていなかった

この判示には,さすがに我が目を疑いました。
出資者は当然,「出資金の全額ないしそれに近い金額がベトナム国内の未公開株式の購入代金に充てられる」と思って出資しているわけでし,少なくとも事前にベトナム国内の未公開株式の購入に充てられる金額がが出資金の2割程度であることを知っていれば,出資者の多くの人はこのファンドに出資しなかったことは明らかでしょう。

この点について,東京高裁は,原判決(一審の判決)の不自然,不可解な判断を明確に修正した上で,上記判断をしました。
控訴審での逆転勝訴となったのはよかったですが,本来は原審(一審)が事案を正解してなすべき判断であったと,私は今でも思っています。

2 今月(先月!)の1枚

レトロふくしま花見山号 大河原-船岡(東北本線)

世間では桜の季節が終わり,新緑萌える季節に入っていますが,自分は桜満開の写真で勝負です。
宮城県にある船岡城址公園頂上付近から眺める一目千本桜,まさに圧巻の光景に思わず息を飲みました。

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