判決報告(連鎖取引類似の方法で勧誘された投資被害事案における直接の勧誘者ではない上位者の不法行為責任)

1 直接の勧誘者ではない上位者の不法行為責任を肯定した裁判例(東京地判平成29年11月30日)
 前回のブログで紹介した事件(勝部ファンド)について,別の裁判体による判決です。
 前回と同様,連鎖(マルチ)取引類似の方法で勧誘された投資被害事案において,直接の勧誘者ではない上位者の不法行為責任を正面から肯定した判決が出ました。
 判決:東京地判平成29年11月30日(合議体による判決です) 
 弊所HP上の裁判例にも掲載予定です。

 本件は,毎月3%から8%という高配当を謳うFX取引の投資ファンドが問題となった事案で,勧誘方法としては連鎖(マルチ)取引類似の方法が用いられていました。
 本件の原告らは,被告から直接の勧誘は受けておらず,被告の下位者から勧誘を受けて投資をして損害を被った者でした。
 被告からは,原告と面識がなく直接の勧誘を行っておらず,下位者に勧誘を行わせたこともないから責任を負わないとの主張がなされことから,連鎖(マルチ)取引類似の方法で勧誘された投資被害事案において,直接の勧誘者ではない上位者が不法行為責任をが問題となったのも,前回の報告と同じです。
 
 本判決は,まず問題となった商品について,「元本を保証した上で,勝部ファンド概要記載のとおり,平均パフォーマンス月利3ないし8パーセントで,実質は6ないし16%パーセントであるなどとして出資を勧誘して」いるが,「上記のような投資リターンを恒常的に上げ続けることは経済合理性に反するものであるというべきであり」,「勝部ファンドは,早晩破綻することが必至なものであり,金融商品としての適格性を有しないものであると認めることができる」,また,「詐欺的なもの」であるとも指摘し,「これに投資するように勧誘することは,不法行為に該当するべきである」として,喧伝されていた商品の内容からその不適切さを的確に指摘して違法性を認めました。

 その上で,被告(直接の勧誘者ではない上位者)の責任について,被告(直接の勧誘者ではない上位者)の責任については,「勝部ファンドが金融商品としての適格性を有しない早晩破綻することが必至なものであることを知りながら」,「下位者を利用して出資者を募っていたのであるから,被告は,下位者である○○の勧誘により勝部ファンドに出資した原告との関係でも不法行為責任を免れない」と判示しました。
 
 また,原告らに対する過失相殺は行われず,さらに,原告らに交付されていた配当については,「破綻必至なものであることを糊塗するために配当がなされていた」として損益相殺も行われませんでした。

 本判決は,高配当を謳うファンド商法について,喧伝された高配当は常識的に実現不可能であること,被告らから客観的な履歴が明らかにされないことなどを指摘して,詐欺的な商品であると明示的に判示したことに加え,直接勧誘を行っていない上位者に責任ついても,破綻必至なものであること知りながら,下位者を利用して出資者を募っていたといえるとして,不法行為責任を認めている点が注目されます。

 前回も指摘しましたが,被害が後を絶たない連鎖(マルチ)取引類似の方法が用いられて被害が拡大する類型の投資被害事案において,直接の勧誘者の上位者からしばしばなされる「自身は原告と面識がなく直接の勧誘を行っていない」との主張に対する裁判所の明確な応答であり,前回に引き続き,同論点について参照価値があるものと考えます。

2 錦秋の鉄道
 秋は鉄道が景色の中で美しく輝く季節です。


特急オホーツク 生田原-常紋(信)(石北本線)

 北海道の北見と遠軽の間に位置する常紋峠,その中を縫うように羊腸の鉄路が続きます。
 山全体が紅葉に燃えるこの時期,網走へ向けた特急列車がゆっくりと峠道を越えていきました。

特急かいじ 猿橋-鳥沢(中央本線)

 こちらはこちらは富士山の麓の紅葉です。
 水鏡の富士山を描いたヘッドマークも誇らしげに,伝統の特急が日本屈指のトラス橋を駆け抜けます。