22.あいであ・らいふ

(東京地方裁判所平成22年9月27日判決)

 雑誌「月刊頭で儲ける時代」の発行により投資勧誘を行っていた「あいであ・らいふ」(破産)に対して,その勧誘態様に,投資の実態について殊更に出資者に有利な情報のみを強調し,リスクを説明せず,投資意欲をあおるものであって,投資勧誘者に課された注意義務を怠った違法があるとして査定決定を変更して損害賠償請求権を認めた査定異議審判決

 「あいであ・らいふ」は,「月刊頭で儲ける時代」臨時増刊号等を通じて,一般消費者に対して数多くの出資案件を募集していた。しかし,「あいであ・らいふ」の破産手続中,破産管財人の調査によって,勧誘が行われた各投資案件の事業成立度が非常に低かったことや,投資案件に出資された金員の一部を「あいであ・らいふ」が自社で流用していたこと等が判明するなど,数々の問題点が浮き彫りにされた。

 また,「あいであ・らいふ」が発行していた雑誌「月刊頭で儲ける時代」臨時増刊号等における勧誘は,「トレードチェックシステム社に出資すれば,上場時に巨額のキャピタルゲインを得られる。」といった過大な宣伝文句が並べられて行われる一方で,投資のリスク等については何ら具体的な説明を行っておらず,投資勧誘者に課された説明義務を著しく怠っていた。
 このような状況において,「あいであ・らいふ」の破産手続において,破産管財人は,同社が営業者となる匿名組合へ出資した者については,匿名組合契約終了に伴う出資金返還請求権として破産債権と認めたものの,上記違法勧誘を受けて他の事業に出資した者に対しては,出資額相当損害金について破産債権(不法行為に基づく損害賠償請求権)と認めず,これを不服とする査定申立てに対して破産裁判所は0(ゼロ)査定をしたことから,査定異議訴訟を提起した。
 本判決(査定異議審判決)は,「あいであ・らいふ」による勧誘行為は,投資の実態について殊更に出資者に有利な情報のみを強調し,リスクを説明せず,投資意欲をあおるという投資勧誘者に必要な注意義務を怠った不法行為に該当すると判示し,本件投資勧誘は,未公開株が上場すれば多額のキャピタルゲインを得られるという内容であったところ,「雑誌には当時の対象会社の貸借対照表が記載されており,これを見れば当時対象会社は債務超過に陥っているのであるから,投資のリスクは十分に表示されていた。」という被告の主張について,当該貸借対照表が1頁の4分の1程度のスペースで記載されているだけであって補足説明がなにもされていないから,これを読んだ一般読者が投資のリスクを読み取ることはおよそ期待できないと判示して排斥し,損害賠償請求権を認めた。

 本判決は,リスク説明がされていたか否かについて,書面の表示・記載の内容を具体的・実質的に検討して判断しており,説得力を有する。
 なお,4割の過失相殺がされたことから,これを不服として控訴し(双方控訴),控訴審では本判決を上回る和解(減額を2割とするもの)が成立した。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(双方控訴,和解)
⇒先物取引裁判例集61巻52頁
⇒消費者法ニュース87号186頁

1.東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング
(海外ファンド,金融商品まがい取引としての違法性)(東京高等裁判所平成23年12月7日判決)
「金融商品まがい取引」として違法性を導いたリーディングケース
2.東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング(海外ファンド)
(東京地方裁判所平成20年9月12日決定)
私募ファンド業者に対する意表を突いた被害回復手続
3.JPB,日本プライベートバンキングコンサルタンツ
(海外ファンド,金融商品取引業者の取締役の監視監督責任のあり方)(東京高裁平成22年12月8日判決,東京地方裁判所平成22年5月28日判決)
この種業者の(名目的)取締役の責任について説得的に判示している
4.ストラテジック・パートナーズ・インベストメントほか
(東京高等裁判所平成29年4月26日判決,東京地方裁判所平成28年2月18日判決,東京地方裁判所平成27年2月4日ほか)
インターネットにより契約の申込みをさせていたファンド商法において,説明義務違反の違法性が認められた事例
5.ファンドシステム・インコーポレイテッド
(FX自動運用,従業員の過失による幇助責任)(東京高等裁判所平成23年12月7日判決)
「過失による幇助」による損害賠償を命じたもの
6.東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング,New Asia Asset Management,Mongol Asset Management(海外ファンド)
(東京地方裁判所平成24年4月24日判決)
海外ファンドについて商品自体の「不適正」さを指摘したもの
7.アイ・エス・テクノロジーほか(121ファンド関係)
(1事件:東京地方裁判所平成25年11月13日判決,東京高等裁判所平成26年7月10日判決,2事件:東京高等裁判所平成26年9月17日判決,東京地方裁判所平成25年11月28日判決)
表に出てこなかった上位関与者及び収納代行業者の責任を認めたもの
8.レクセム証券(旧商号:121証券)
(東京高等裁判所平成27年1月14日判決)
121ファンド商法について一定の関係を有していた証券会社の責任を認めたもの 9.Quess Paraya,エターナルファンド
(東京地方裁判所平成27年3月26日判決)
「セレブな雰囲気」を用いて勧誘するファンド商法について,投資を行う者に適正な損益を帰属させることを目標として組成され管理されていたものということはできず,金融商品として不適正なものであったとして首謀者以下関係者に損害賠償を命じたもの 10.バーチャルオフィス契約・電話利用契約に関する本人確認書類提供者の責任
(東京高等裁判所平成28年1月27日)
詐欺商法において用いられたバーチャルオフィス・電話利用権の契約に関する本人確認書類提供者の責任を認めた事例 11.勝部ファンド
(東京地判平成29年10月25日)
連鎖(マルチ)取引類似の方法で勧誘された投資まがい商法の,直接の勧誘者ではない上位者の不法行為責任を正面から肯定したもの 12.携帯電話貸与者(一般個人)
(東京地方裁判所平成26年12月25日判決)
携帯電話レンタル業者ではない一般人が貸与した携帯電話が詐欺商法に用いられた事案において貸与者に過失による幇助の責任を認めた事例 13.L・B投資事業有限責任組合関係
(東京地方裁判所平成26年2月26日判決)
投資事業有限責任組合の形態を採用して未公開株商法を行っていた業者らの責任 14.ユニオン・キャピタル,ファンネル投資顧問
(東京地方裁判所平成28年7月8日)
「本件ファンドは,そもそも,顧客の資金を運用し,顧客に適正に損益を帰属させることを目的として組成されたものとはいえない」として損害賠償請求を認容した事例 15.有限会社リンク(121ファンド関係)
(東京地方裁判所平成24年4月23日判決)
中間代理店の過失を取引の荒唐無稽さから導いたもの 16.パブリックライジングジャパン(ファンド商法)
(東京地方裁判所平成24年7月9日判決)
ファンドまがい商法被害事案において参考になる 17.パブリックライジングジャパン(ファンド商法)
(東京地方裁判所平成24年9月14日判決)
ファンドまがい商法被害事案において参考になる 18.合同会社フィールテックインベストメント4号,一般社団法人米国IT企業投資協議会(投資事業組合商法)
(東京地方裁判所平成25年2月1日判決)
投資の実態を明らかにしないことがどのような意味を持つかを正しく指摘している 19.よいルームネットワーク(探偵業者)
(東京地方裁判所平成24年11月30日判決,東京高等裁判所平成25年4月17日判決)
探偵業者による被害事案 20.恵新
(東京地方裁判所平成26年1月28日判決)
過失による幇助という法律構成を用いている 21.スペース・ワン関係
(東京高等裁判所平成26年7月11日判決,東京地方裁判所平成25年3月22日判決)
ファンド商法勧誘者,加功者の責任(「勧誘」の評価) 22.あいであ・らいふ
(東京地方裁判所平成22年9月27日判決)
リスク説明がされていたか否かについて,書面の表示・記載の内容を具体的・実質的に検討して判断したもの 23.アイ・ベスト
(東京地方裁判所平成23年5月27日判決)
「不動産ファンド」まがい商品の勧誘者について会社の説明を鵜呑みにして勧誘したとしても責任を免れないとしたもの 24.サンラ・ワールド(海外ファンド)
(東京高等裁判所平成23年5月26日判決)
広く被害を生んだサンラ・ワールドの商法に関するもの。これ以外は全て全額を支払うとの訴訟上の和解が成立している 25.東京プリンシパル・セキュリティーズ・ホールディング(海外ファンド)
(東京地方裁判所平成23年5月31日判決)
私募ファンド商法被害事案 26.KCFホールディングズ,中央電算(フェリーマルチ商法)
(東京地方裁判所平成24年8月28日判決)
フェリーマルチ被害事案 27.住まいと保険と資産管理
(東京地方裁判所平成24年9月26日判決)
FPグループの海外投資勧誘 28.エイ,Truth Company(121ファンド関係)
(東京地方裁判所平成25年1月21日判決)
121ファンド商法の主要な代理店であった業者らの責任 29.エスペイ(121ファンド関係)
(東京高等裁判所平成24年12月20日判決,東京地方裁判所平成24年6月22日判決)
過失相殺をした1審の判決を取り消した控訴審判決 30.ハヤシファンドマネジメント,トップゲイン
(東京地方裁判所平成25年1月24日判決)
ファンドまがい商法の判断枠組みを踏襲し,真実はそうでないのに,「ファンド・オブ・ファンズ」を喧伝する行為についての違法性評価を固めるもの