8.未来ねっと

(東京地方裁判所立川支部平成24年3月22日判決)

 いわゆる買取仮装型劇場型未公開株詐欺事案で,発行会社が株式代金について被害者との間で執行受諾文言付公正証書を作成し,これに基づき強制執行(預金債権に対する差押え)を行ってきたという新たな手口による被害事案。

 請求債権は2000万円余,実際に差し押さえられた口座の預金債権は20数万円であった。本判決は,被害者がSVS証券(買取仮装業者)に欺罔されていたことを認定した上で,被告会社が被害者らからの電話や書面の連絡のみで1000万円以上もの多額の株式の買付に応じる積極的な姿勢を示していること,(本件原告やその他の同一業者の同種被害者のうち判明しているものを合わせただけでも)発行済み株式の約4割を何ら縁故も面識もない70歳以上の高齢者に,被告株式取得の理由や経緯等質問もせず取得させようとしていること,被告が原告やその他の被害者ら以外の相当数の者との間でも事案が類似する紛争を抱えていることなどの事実を認定し,「被告は,原告が株式の換金性その他,投資としての重要事項に関し,SVS証券,RBC証券その他の者の詐欺によって,錯誤に陥っている可能性を認識しつつも,強引にでも原告に株式買付金を支払わせて,自己の自由となる資金を確保するため,原告が錯誤によって意思表示することを容認,歓迎し,何ら原告の錯誤を是正することなく,かえって本件契約の締結や株券の交付で原告の誤信を強め,後日,原告が錯誤に気付いて,株式買取金を任意に支払おうとしなくなることを見越して,本件執行証書の作成等の措置も講じており,SVS証券による詐欺を容易にさせる行為をしており,被告には悪意があったと認めるのが相当」であると判示して買取仮装業者から原告に対する詐欺を認め,買取仮装業者を第三者とし,発行会社を悪意とする第三者詐欺(民法96条2項)に基づく取消を認めて,請求異議(上記公正証書の執行力の排除)を認容した。第三者の詐欺という法律構成の採用は興味深く,同種事案の迅速な被害救済に有益な示唆を与えるものであると思われる。弁護士間の連携が大きく役立った事案でもある。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(業者側控訴,和解)
融・商事判例1392号金判SUPPLEMENTvol.42
⇒先物取引裁判例集65巻371頁
⇒判例タイムズ1378号150頁

1.日興グランダム
(東京地方裁判所平成19年11月30日判決)
未公開株商法の違法性について説得的に判示するもの 2.イージーモダンワークス
(東京地方裁判所平成22年6月28日判決)
未公開株商法における株式発行組織の責任等について 3.カンボジア開発合同会社(旧TAKE合同会社),HUMAN KNOWLEDGE(旧HK INVESTMENT),パイオニアワールド
(東京地方裁判所平成24年1月25日判決)
詐欺商法に使用された携帯電話のレンタル業者の責任を認めたもの 4.エスジーエス
(東京地方裁判所平成23年12月21日判決)
劇場型社債商法について様々な論点について説得的な判示がある 5.口座開設関与者の責任
(東京地方裁判所平成28年3月23日)
詐欺商法(ロト6詐欺)に用いられた銀行口座を開設するにあたって内職のために必要であると言われて本人確認資料等を送付し,届いた郵便物を転送するという「内職」をしていた者ら(その他の関与態様の者もある)に対し,口座開設の幇助をしている認識がなくとも,自らの行為が何らかの違法行為に使われている可能性が高いことを容易に知り得たとして損害賠償を命じた事例 6.尚未,ロングテイル
(東京高等裁判所平成28年4月20日判決)
結婚紹介サイトで知り合った女性から出資,社債・株式取得名目で金銭を交付させられた事案でデート商法としての違法性が認定された事例 7.エス・アンド・エスエンジニアリング
(東京高等裁判所平成24年10月25日判決,東京地方裁判所平成24年3月2日判決)
杜撰な1審判決を破棄したもの 8.未来ねっと
(東京地方裁判所立川支部平成24年3月22日判決)
未公開株商法において第三者の詐欺という法律構成を採用したもの 9.ミニッツカンパニー
(東京高等裁判所平成25年4月24日判決)
資金移転組織間の共同不法行為責任を肯定したもの 10.大雪山合同会社
(東京地方裁判所平成24年8月10日判決)
首謀者である会社設立行為者の責任 11.真匡会
(東京地方裁判所平成27年3月27日判決)
医療ないし医療法人に対する高齢者の高い信頼を利用して広く被害を多発させ,刑事事件にも発展した医療法人社団真匡会の医療機関債販売事案について,真匡会の代表理事長らの責任を認め,過失相殺を否定して損害賠償を命じたもの 12.ELストリーム
(東京地方裁判所平成25年11月26日判決)
未公開株式の発行会社の役員の責任を詳細な事実認定を基礎に肯定したもの 13.マリン技研
(東京地方裁判所平成24年11月15日判決)
請求が認められることが必ずしも容易ではなかった少し古い時期の未公開株発行会社の責任に関するもの 14.アグリ・ヴァンティアン
(1事件:東京地方裁判所平成26年10月16日判決,2事件:東京地方裁判所平成28年3月15日判決)
一応の実業らしきものは行われている業者が自社の未公開株を販売した事案について株式の評価額の算定が不合理であるなどとして名目的であると主張した役員らの損害賠償責任を肯定した事例 15.長浜バイオラボラトリー(DNAセキュリティー研究所)
(東京地方裁判所平成24年12月25日判決)
自社株販売型の未公開株商法について発行会社の関与を認定したもの。配当を損害から控除していない 16.エコスパートナー
(東京地方裁判所平成25年3月25日判決)
未公開株商法における資金移転行為関与者の責任 17.ダイア・アイ・コム
(東京地方裁判所平成25年3月25日判決)
未公開株商法について役員の辞任している旨の主張を排斥したもの 18.H4O
(東京高等裁判所平成24年2月29日判決,東京地方裁判所平成23年2月9日判決)
自社株販売型の未公開株商法について詳細な事実認定をして発行会社関係者の責任を肯定している 19.ランサーテクノロジー
(東京地方裁判所平成22年12月22日判決,東京高等裁判所平成23年6月8日判決)
未公開株商法に必要な道具(未公開株式,携帯電話)の提供に関与した者について,「幇助」責任を認めたもの 20.DNAソリューションほか
(東京地方裁判所平成23年1月27日判決)
自社株販売型の未公開株商法の発行会社関係者の責任についてのリーディングケース 21.田村
(東京地方裁判所平成24年1月16日判決)
未公開株の発行会社関係者の責任 22.アドメイン
(東京地方裁判所平成22年2月9日判決)
未公開株の発行会社関係者の責任について,販売行為者の行為が具体的には判明しない事案で説得的な判時をして責任を認めたもの 23.イーマーケティング
(東京地方裁判所平成23年11月30日判決)
未公開株発行会社関係者らの責任について比較的詳細な検討をしている 24.ヒューマンユニテック,ランサーテクノロジー
(東京地方裁判所平成23年2月24日判決)
未公開株商法への関与を否定していた発行会社及びその取締役らについて,調査嘱託の結果や関係証拠を比較的詳細に摘示してその関与を認定したもの 25.アルメデコム・インデックス投資事業有限責任組合
(東京地方裁判所平成23年2月23日判決)
買取仮装型社債まがい商法の社債発行会社関係者の責任 26.ランサーテクノロジー
(東京地方裁判所平成23年3月3日判決)
自社株販売型の未公開株商法の発行会社関係者の責任 27.七海ホールディングス
(東京地方裁判所平成23年2月3日判決)
自社株販売型の未公開株商法の発行会社関係者の責任 28.DNAソリューション
(東京地方裁判所平成23年2月16日判決)
自社株販売型の未公開株商法の発行会社関係者の責任 29.アドバントレード
(東京地方裁判所平成20年4月11日判決,東京高等裁判所平成20年7月31日判決)
未公開株商法の名目的代表取締役の責任。弁護士費用についての認定のあり方に疑問を呈してした控訴審の判決 30.コンチネンタル・ウェイ,フロンティア,コンチネンタル・エム・ケー・マネージメント(東京地方裁判所平成19年12月13日判決) 未公開株商法を公序良俗に反する取引であると判示している 31.日興グランダム
(東京地方裁判所平成20年6月20日判決,東京高等裁判所平成21年1月21日判決)
未公開株販売業者らの責任。原告(被害者)は業者の従業員であった 32.イージーモダンワークス
(東京地方裁判所平成21年3月18日判決)
自社株販売型の未公開株商法の発行会社関係者の責任。換価価値がないとして損益相殺を否定している 33.イー・マーケティング
(東京地方裁判所平成21年7月15日判決)
自社株販売型の未公開株商法の発行会社関係者の責任 34.新日本バイオシステムズ
(東京地方裁判所平成22年7月2日判決)
未公開株商法業者の名目的取締役について会社の実情を知らないこと自体に重過失があるとしたもの 35.植物燃料投資事業組合,エスポインベストメント
(東京地方裁判所平成22年10月29日判決)
未公開株の販売会社に株式を投資事業組合員を通じて譲渡した会社について幇助責任を認めたもの 36.マーケットトラスティ
(東京高等裁判所平成22年8月4日判決,東京地方裁判所平成22年3月26日判決)
匿名組合契約商法業者の取締役らの責任。役員責任と弁護士費用相当損害金の請求の可否 37.エイワンジャパン
(東京地方裁判所平成20年7月11日判決)
未公開株商法の名目的代表取締役の責任 38.コンチネンタル・ウェイ
(東京地方裁判所平成19年8月24日判決)
未公開株商法について名目的取締役であるとの主張を排斥したもの 39.サクセスジャパン
(東京地方裁判所平成19年5月28日判決)
投資事業組合の形態を採用して未公開株商法を行っていた業者らの責任 40.アドバントレード
(東京地方裁判所平成19年5月22日判決,東京高等裁判所平成19年11月28日判決)
未公開株の発行会社らの責任 41.さくらキャピタル
(東京地方裁判所平成19年1月31日判決)
未公開株商法業者の取締役の義務を尽くした旨の主張を排斥したもの 42.サクセスジャパン
(東京地方裁判所平成18年12月26日判決)
投資事業組合の形態を採用して未公開株商法を行っていた業者らの責任 43.ウィンザージャパン
(東京地方裁判所平成18年9月21日判決)
未公開株商法に関する初期の判決 44.アルゴインベストメント
(東京地方裁判所平成20年6月20日判決)
投資事業有限責任組合の形態を採用して未公開株商法を行っていた業者らの責任