6.金融商品取引業者と取引履歴の開示

(東京地方裁判所平成20年9月12日決定ほか)

 金融商品取引(まがい取引)業者に対して,取引履歴を開示することを命じた間接強制決定例
 高齢者から私募ファンドへの投資金名下に金銭を騙取する業者に対して,取引履歴の開示を求める本案訴訟を提起し,業者が請求を認諾するに至った。しかしその後も任意の開示はなく,直ちに間接強制の申立を行った。執行裁判所には開示書類の趣旨であると強弁するものとして不十分な書類が送付されるなどした。損害の算定について,いわゆる「被害金額」の消滅時効期間との比率で算定するという考え方についての意見を裁判所から求められたのに対して,「裁判所は,一応損害額を考慮に入れつつも,債務の目的や性質その他の事情を考慮して,予測される損害賠償額に拘束されることなくその裁量により債務の履行を確保するため相当と認められる金額の支払を命じうるのであり,かつ,そのような観点から支払を命じる金額を決定するべきであり,本件事案において開示請求権の間接強制のための損害金を開示請求に係る取引金額に直接的に関連させて検討することは適切でない」旨の意見書を提出するなどし,本決定を得た。
 結果,被害者1人あたり1日あたり15万円の損害金が認められた。金融商品会社(まがい会社を含む)に対する取引履歴等の開示に関する間接強制決定は今までないのではないかと思われ,1日15万円(3人で45万円)という違約金も正当な理由なく取引の内容や金銭授受の履歴を開示しない業者に対して開示をさせる相当の動機となりうるものと評価する。

決定PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(確定)
⇒証券取引被害判例セレクト32巻154頁
⇒消費者法ニュース77号176頁,同号262頁

決定PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(執行抗告審決定。抗告棄却,東京高等裁判所平成20年10月2日決定,確定)
⇒証券取引被害判例セレクト32巻157頁

1.弁護士会照会に対する報告義務
(東京高等裁判所平成22年9月29日判決ほか)
2.ソフトバンクモバイルの調査嘱託に対する回答拒否事件
(東京地方裁判所平成24年5月22日判決,東京高等裁判所平成24年10月24日判決)
3.保険証券番号不特定執行
(東京高等裁判所平成22年9月8日決定)
4.仮装離婚と財産分与の虚偽表示による無効・債権者代位による不動産移転登記抹消登記手続請求
(東京地方裁判所平成25年9月2日判決,東京高等裁判所平成26年3月18日判決)
詐欺的業者の首謀者が妻との離婚を仮装して財産分与をした事案について,離婚及び財産分与は通謀虚偽表示により無効であるとして債権者代位により居宅不動産の所有権移転登記抹消登記手続請求を認容した事例 5.訴えの提起における当事者の特定・住所地の記載されていない債務名義の強制執行の方法等
(東京高等裁判所平成21年12月25日判決ほか)
6.金融商品取引業者と取引履歴の開示
(東京地方裁判所平成20年9月12日決定ほか)
7.詐欺的取引と裁判管轄(移送の可否)
(東京高等裁判所平成23年6月1日決定)
8.支店不特定執行
(東京高等裁判所平成23年3月30日決定ほか)
9.支店不特定執行(2)
(東京高等裁判所平成26年6月3日決定)
10.預金債権の時間的包括的執行
(奈良地方裁判所平成21年3月5日決定)
11.詐害行為取消訴訟
(山形地方裁判所平成19年3月9日判決)