11.詐害行為取消訴訟

(山形地方裁判所平成19年3月9日判決)

 外国為替証拠金取引業者の代表者の所有不動産について詐害行為(根抵当権の設定)がされていたのを取り消した事例

 外国為替証拠金取引業者らに対して損害賠償請求債権(確定判決)があり,これに基づいて同代表者が山形の不動産を相続していたので強制競売の申立を行った。同不動産には平成17年9月9日に実兄に根抵当権設定登記がされており,強制競売手続において1600万円の貸金があるとの届出がなされ,裁判所から取下の打診がなされた。損害賠償請求の提起日は平成17年5月9日であり,集中証拠調期日は同年11月18日であったから,上記根抵当権設定当時には既に損害賠償債務を認識していたのに,あえて(虚偽であるとも疑われる)借金をしたとして根抵当権を設定したのであって詐害行為であると主張して詐害行為取消訴訟を提起し,併せて強制執行手続については同取消訴訟の結論が出るまで保留してもらうこととした。
 判決は根抵当権設定契約時に損害賠償請求権を認識していた,同人に見るべき資産はなかった(株式を保有していたなどというが信用できない),極度額を1600万円ではなく3000万円としたことも代表者とその兄との強い結びつきを推認させる,1600万円の貸付自体が疑わしい,会社の資金繰りのために必要だなどと言われた兄が善意であるとは到底認められない,として詐害行為取消を認めた。

 同判決の確定を受けて強制競売申立事件が再開し,長期間を要したものの(土地の上に親族の建物がちょっと乗っていた),競落された。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(確定)
⇒先物取引裁判例集52巻1頁

1.弁護士会照会に対する報告義務
(東京高等裁判所平成22年9月29日判決ほか)
2.ソフトバンクモバイルの調査嘱託に対する回答拒否事件
(東京地方裁判所平成24年5月22日判決,東京高等裁判所平成24年10月24日判決)
3.保険証券番号不特定執行
(東京高等裁判所平成22年9月8日決定)
4.仮装離婚と財産分与の虚偽表示による無効・債権者代位による不動産移転登記抹消登記手続請求
(東京地方裁判所平成25年9月2日判決,東京高等裁判所平成26年3月18日判決)
詐欺的業者の首謀者が妻との離婚を仮装して財産分与をした事案について,離婚及び財産分与は通謀虚偽表示により無効であるとして債権者代位により居宅不動産の所有権移転登記抹消登記手続請求を認容した事例 5.訴えの提起における当事者の特定・住所地の記載されていない債務名義の強制執行の方法等
(東京高等裁判所平成21年12月25日判決ほか)
6.金融商品取引業者と取引履歴の開示
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7.詐欺的取引と裁判管轄(移送の可否)
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8.支店不特定執行
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9.支店不特定執行(2)
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11.詐害行為取消訴訟
(山形地方裁判所平成19年3月9日判決)