9.SMBCフレンド証券

(東京地方裁判所平成17年7月22日判決)

 国内証券会社が行う日経225先物オプション取引について,適合性原則違反を認めて5割の過失相殺をして損害賠償請求を認容した事例

 公務員である原告が相続を契機として泉証券に口座を開設し,半年ほど株式現物,中国株,日経225連動型上場投資信託などをして損失を出した後,1年3ヶ月程度の日経225オプション取引をし,3000万円の損失を受けたというもの。うち手数料が2500万円にのぼる。泉証券を承継したSMBCフレンド証券に対する損害賠償請求。

 判決は,オプション取引の特徴を検討した上で,「オプション取引は,金融工学等に基づいて構築された極めて複雑難解な仕組みとなっており,その仕組みを十分に理解することなく,あるいは,関連情報の収集分析能力を備えていない者が取引を行う場合には,もっぱら直感的な相場見通しを手掛かりとして,リスクの限定や回避を講じることなく,損失の可能性に対し無防備な取引を行い,その結果,予期しない多額の取引差損,手数料損等の損失を受ける可能性が少なくないものと認められる」として,他の投機取引にも増して適合性について慎重な検討が必要であると判示した。そして判決は,原告には株式取引等の投機取引について理解するための知識,経験,能力等はあったが,オプション取引について的確に理解し,的確な取引行為を行い得るほどの専門的な知識,経験等を有していたとは認められないとし,また,公務員として勤務していた原告には調査検討や独自の情報の収集分析を行い得る状況にもなかったとした。次いで判決は,説明義務に関し,「オプション取引の仕組み等を分かりやすく的確に説明するとともに,取引に伴う損失の危険性,手数料の負担等の損失に関する要因についても十分に説明する義務がある」とした上で,担当社員の説明はオプション取引のアウトラインに関する通り一遍の説明に止まるものであって,原告が上記の点について的確に認識し得たとは認められないとした(併せて,判決は,原告には投資取引について少なくとも平均水準の理解力があったとしつつ,それでも本件における説明程度では,複雑難解なオプション取引を理解して自己の判断で取引をこなすことは困難であるとも判示している)。以上から,判決は,適合性原則違反と説明義務違反による不法行為を肯定した(過失相殺5割)。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(双方控訴,和解)
⇒証券取引被害判例セレクト26巻223頁

1.静銀ティーエム証券
(東京地方裁判所平成23年2月28日判決)
銀行系証券会社によるノックイン型投資信託勧誘事案
2.アトランティック・ファイナンシャル・コーポレーション
(東京地方裁判所平成20年7月16日判決)
ロスカット・ルールに関する重要な初判断
3.アルファエフエックス
(東京地方裁判所平成22年4月19日判決)
区分管理を怠った業者の役員らの責任に関する判決
4.アーバンコーポレイション役員ら
(東京地方裁判所平成24年6月22日)
アーバンコーポレイション事件の対役員らの判決
5.アーバンコーポレイション査定異議訴訟
(最高裁判所平成24年12月21日判決)
アーバンコーポレイション事件の対会社の判決群
6.野村證券
(東京地方裁判所平成25年7月19日判決)
仕組債の時価評価についての説明義務違反など 7.幸せwin,大橋ひかる,マネースクウェアジャパン
(東京地方裁判所平成20年10月16日判決)
情報商材業者や,これを利用して集客していた業者の違法性を肯定したもの 8.KOYO証券
(東京地方裁判所平成28年5月23日判決)
株価指数証拠金取引(くりっく株365)について説明義務違反,過当売買の勧誘等の違法性を認め,過失相殺を否定して損害賠償請求を全部認容した事例 9.SMBCフレンド証券
(東京地方裁判所平成17年7月22日判決)
日経225先物オプション取引被害事案