8.KOYO証券

(東京地方裁判所平成28年5月23日判決)

 本判決は,当職らが知る限りでは,株価指数証拠金取引(くりっく株365)についての初めての裁判例である。
 株価指数証拠金取引(くりっく株365)は,被害実態は先物取引被害と酷似しており,裁判例も違法性判断において先物被害と同様の判断過程をとっているが,同取引は金融商品取引法によって規律される取引であるから,本欄にも掲記しておく。
 本判決は,被告担当者らにおいて本件取引の危険性(売買による損失の発生)のほか,取引を繰り返すことで多額の手数料を要することになる点についての説明が十分に行われなかったとして説明義務違反を認め,本件取引において特定売買を合理的であると評価させる事情は特に見当たらず,被告担当者から情報提供等を受ける代わりに高額の手数料を支払うこととなるコンサルティングコースでありながら,原告の損益にかかわる委託手数料について,被告担当者が配慮を払った形跡はなく,被告の手数料稼ぎのために,過当な頻繁売買が勧誘されたとして過当売買の勧誘の違法を認め,「本件においては,本件取引の危険性や手数料負担についての説明が不十分のまま,被告担当者らによって,意図的な手数料稼ぎのために過当取引が継続されたものといえ,発生した取引損失もすべて被告の手数料に相当するものであったこと,原告は,取引の開始後,本件取引による手数料負担が多額に上ることを自ら認識した後は比較的短期間に本件取引を終了させていることといった事情を考慮すれば,本件において,過失相殺をすることが相当とはいえない」と判示して請求を全部認容した。
 同取引に関する(おそらく)初めての判決であること,手数料に着目した説明義務や過当性の評価をしている点など,参考になるものと思われる。

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⇒金融・商事判例1494号金判SUPPLEMENTVol.91
⇒消費者法ニュース108号347頁
⇒証券取引被害判例セレクト51巻15頁
⇒先物取引裁判例集75巻205頁

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(東京地方裁判所平成28年5月23日判決)
株価指数証拠金取引(くりっく株365)について説明義務違反,過当売買の勧誘等の違法性を認め,過失相殺を否定して損害賠償請求を全部認容した事例 9.SMBCフレンド証券
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