後見制度支援信託について

後見制度支援信託という制度をご存知でしょうか。

手続の概要などは、裁判所や信託銀行のホームページ等にも記載がありますが、最近、後見制度に付随する手続として、利用件数が増えてきている制度です。
申立ての手続の流れなどについては、他のウェブページで調べることが十分できると思うので、今日は、信託銀行の決め方や、定期金や手元資金、一時金などの素朴な疑問点について簡単にお伝えしようと思います。

≪概要≫
被後見人(本人)に一定以上の財産があり、その他信託に支障がない等一定の条件を満たす場合に、信託銀行との間で信託契約を結び、いったん、まとまった金額を信託銀行に預け、定期的に一定の金額(定期金)の支払いを受け、これを被後見人の生活のための資金として使っていく、という制度です。
ちなみに、被後見人の配偶者など、被扶養者の生活費等も合わせて定期金とすることができます。
なお、信託銀行の信託報酬や手数料等、配当率等は、各信託銀行により異なります。どの信託銀行にするかは、親族後見人の方と、専門職後見人(主に弁護士)が相談して決めることができます。

≪専門職後見人について≫
後見制度支援信託では、弁護士は、専門職後見人として、信託契約の締結が終わるまで一時的に信託の設定にまつわるお手伝いをします。
東京都内では、「オアシス登録」といって、後見人になるためには弁護士経験3年以上、弁護士賠償責任保険に加入していること、一定の研修を受けること等が必要とされており、専門職後見人もこのオアシス登録をしている者のみが就任することができるという制度になっています。
近時、弁護士が後見人として横領等をするケースもあるので、要件が厳格になってきたという経緯があるようです。

≪定期金について≫
定期金は、収支予定表を作成しながら、収入-支出=月額の増減で決めていきます。
多くの場合、月の収支はマイナスになると考えられるため、毎月のマイナス額+@を定期金として設定することになるかと思います。このとき、親族後見人が、自宅から被後見人の入居施設等へ行くまでの交通費や、諸々の名義書換えに必要となる成年後見の登記事項証明書の取得費用等、日常的に必要になってくる雑費も、合理的な範囲内で支出として入れることができます(実際に取得できるのはもちろん支出した額に限ります。)。これも積もり積もるとそれなりの金額になると思いますので、専門職後見人に事情を伝えると良いと思います。
定期金の支払の頻度は、1か月、2か月、3か月、6か月のいずれかから決められますので、年金の受給のタイミング等と勘案して決めるのが良いかと思います。
定期金の金額、支払いの頻度についても、専門職後見人が、過去数か月分の収支を確認しながら、親族後見人と相談しながら決めていきます。

≪手元資金・一時金について≫
信託契約の設定前に、ある程度の突発的な支出には備えられるように手元資金を残しておきます。手元資金は事情にもよりますが、おおよそ100万円~500万円の範囲内で決めるのが基準です(逆に言うとその残額が信託財産となります。)。
その他、例えば、施設の入居資金等、まとまった金額が一時的に必要になった場合で手元資金が不足するなどの場合には、裁判所にその必要があることを「報告書(一時金交付)」で伝え、許可を得て一時金として払い戻しを受けることも可能です。
「報告書(一時金交付)」のフォーマットは、裁判所のウェブページからダウンロードできます。

≪後見人による裁判所への報告≫
基本的には、信託契約の設定後、専門職後見人は辞任しますが、親族後見人の方はその後も定期的に裁判所に報告をする義務があります。
不明な点があれば、裁判所に「連絡票」を通じて問合せをすることも可能です。以前に弁護士向けの研修を担当されていた裁判官は、この連絡票はなかなか好評だとおっしゃっていました。「連絡票」のフォーマットも、裁判所のウェブページからダウンロードできます。
なお、手元資金が1000万円を超えることになった場合には、追加の信託をすることになります。

≪後見開始の申立て≫
ご親族の判断能力の低下等に伴う財産の管理の困難などがある場合、どのような方法を取るのが最善かは、ご本人やご家族の事情によって様々だと思います。弊所では、投資あるいは投資まがい被害の回復にあたり、成年後見開始の申立てを行うケースなども多く扱っています。また、上記のオアシス登録をし、専門職後見人になる資格を持っている者もおりますので、後見にまつわることも、お気兼ねなくお問合せ下さい。

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