藤沢市職員向け講義,現金交付型詐欺商法からの被害回復

 昨日(平成24年3月15日),藤沢市で,近時の詐欺的金融商品取引まがい商法の被害救済について講義をしてきた。市の職員及び消費生活相談員が(いつものことながら)熱心に話を聞いてくれた。
 現実の被害回復活動を弁護士が具体的にどのように行うのかは,消費生活相談員らにもほとんどイメージさえされていない事柄であり,この点についての話は,興味深かったろうと思う。
 さて,昨日の講義でも盛り上がったのが(被害者が藤沢市在住の方であった),先日のブログ記事(平成24年2月22日付私のブログ記事及び同年3月3日付の佐藤顕子弁護士のブログ記事)でも触れた,医療機関債への出資金名下に800万円もの現金を交付させるという手口の被害回復手続の顛末である。
 
 これはもう,身内のことながら,実働した若者弁護士らにブラボーと喝采を送りたい。
 医療機関債への出資金名目で、近時急増しつつある現金受領型の手口の被害があって,こんなのどうしようもないか,いや,どうにかせないかん,という困難な事案。どうやって被害回復をするか…
 聞くと,詐欺商法業者は,身分確認のために免許証を見に来るなどといって被害者方に再度くるとのこと。おそらく再度金銭交付を求めにくるのだろう。高齢者から800万円を取っておいて,まだ懲りないか!
 若い弁護士(女性一人,男性一人)は,2人して「とっつかまえてきます」といって勇ましく,被害者方に潜みに行き,ボスである私は,「うむ,吉報を待つ。」と激励した(すみません)。
 で,担当弁護士たちはやってきた悪者を無事(?)とっつかまえ,人定を定かなものとし(もちろん事前に警察とも連携をとっていた),翌日,実質的権限を有する「管理部」の者を来所させることに成功した。
 そして,翌日やってきたのは,すでに私の債務名義を踏み倒そうとしている旧日光商品→ブラックFX→ロコロンドン→アフリカントラスト系の名前を見知った不徳の輩。おお,おまえ,こんなことまだやってんのか,支払え,賠償せよ,ついでに昔の債務名義のことも思い出せ,と迫り,2週間で返します,との返答を得た。
 2週間というのが怪しいな,返そうと思ったら即日返せるじゃないかと思ったが,そこは仕方がない,2週間の猶予を与えることにした。しばらくして合意書は一応返送してきたが,和解契約の名義人とは異なる組織の印鑑が押してあり,これに口実を付けて引き延ばされるのではないかといういやな予感が少し生じたりもした。
 そして待つこと数日,約束の期限の日,3時ぎりぎりに800万円全額の振り込みが確認された。
 その知らせを受け,(別件の)相談の途中で(不謹慎かも知れないがやむを得ない,静かな)ガッツポーズ。
 いや,機動力を発揮した若者弁護士の勝利である。詐欺師や老獪なその元締めに,きちんと勝った。被害回復を成し遂げた。
 えらいです。