判決報告(第一商品,東京高裁平成26年7月17日)

 私が担当した第一商品(商品先物取引業者)を相手方とする損害賠償請求事件について,先日東京高等裁判所で依頼者の請求が認容され,逆転勝訴しました。

 この事件は,残念ながら1審において請求が棄却されてしまった事件について,控訴審から事件を受任するという少し特殊な経過がありました。

 控訴審は基本的に1回の口頭弁論で裁判が終結してしまいますので※1,控訴理由書の提出期限(控訴状提出から50日以内)までに,訴訟記録を入手し,原判決の内容や原審における主張・立証を詳細に確認し,依頼者との打ち合わせを行ったうえで,高等裁判所の裁判官に対し,原判決の結論は誤っていて取り消されなければならないと説得できるような書面(控訴理由書)を完成させなければなりません。
 従って,他の事件と並行してこれを行うのはなかなか大変ですが,今回の事件は依頼者の方も一生懸命打合せに応じていただき,また依頼者の熱意に押されたこともあり,充実した控訴理由書が提出できたように思います。
 そして,7月17日の判決言い渡し期日に法廷において,「原判決を取り消す」という主文を聞いた瞬間に,とても嬉しく思うとともに,安堵しました※2。
 依頼者も私以上に喜んでくれましたので,本当に良い1日になりました。

※1 控訴審における1回結審の割合が58.5%であることについてhttp://www.courts.go.jp/vcms_lf/20505005.pdf参照
※2 須藤典明裁判長は,同日言い渡しを行った全ての判決について,事案の要旨と判決理由の概要を併せて述べていました。