紆余曲折を経た被害回復2件

 今月に入り,紆余曲折を経た事件が立て続けに終わりました。

 一つは,さくらキャピタルという未公開株商法業者の被害事案。受任したのは平成18年です。無事被害回復に至り,終了しました。今日丁寧な礼状が届き,苦労の一部がこれで報われました。やはり被害回復は諦めることなく持続的・継続的にやっていくことが大切であると再認識しましたが,8年半もかかるとなると,大変です。事態が急転して被害回復に至り,やれやれです。

 もう一つは,AGC株式会社(その後ウルフパックキャピタルと商号変更)という,ある国の大規模銀行に定期預金を開設して送金すれば大きな利息等を得ることができると申し向け,実在する銀行に口座を開設して送金させ,しかし,口座を開設するにあたって個人識別記号であるなどとして氏名の横に4文字のローマ字と一つの数字からなる記号を付すよう指示することによって,結果,口座を第三者が任意に管理できる状況を作出して,定期預金として送金した金員を騙取する,という詐欺商法事案です。
 これについて当職はまず平成24年に1人の被害者から依頼を受けていましたが,なんと1審が公示送達(所在不明なので裁判所の掲示板に貼りだして送達をいわば擬制する手続)による送達を経たある被告について請求を棄却しました。主張立証に不備があるとも思われず,ちょっとびっくりしましたが,控訴審は,わずか6行の判断でこれを覆して請求を全部認容しました。これに対して相手方は,事前に当職に連絡をしてきて事件番号を聞き,1審裁判所にも連絡するなどしていたのに,なんと上告(と受理申立)の追完!を申立て,これは記録到達通知から40日で最高裁に退けられました。
 この間,他の被害者の委任を受けて,相手方の財産に対して仮差押をし,1審で勝訴判決を受けて強制執行を行いました。相手方は控訴の追完を申し立てましたが,本日,結局,控訴を取り下げました。
 様々な紆余曲折を経て,今般,3600万円強について強制執行により被害回復をし,これは,両当事者の実損害(配当等として受領した金額を控除しない金額)と弁護士費用相当損害金を上回る被害回復となりました。被害者2名は予想を上回る被害回復ができたと,喜んでくれました。それはそうでしょう。当職にとっても,上訴の追完という今までやられたことのない手続について勉強になり,しかも相手方が「海外に在る当事者」(民訴法97条1項但書)というべきかどうかという論点について初めて考える機会を得ました。

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