支店不特定執行再び

先週の金,土と,先物取引被害全国研究会滋賀(草津)大会が開かれた。300名に及ぶ参加者を数え,多くの先生方が,同研究会を弁護士人生の,あるいは弁護士魂の拠り所としておられるとのご発言されており,同研究会に育てられたと感じている私にはそのことがひときわ嬉しかった。
 弁護士の任意団体の中ではおそらく2位3位を争う大規模な組織となっているのではないかと思われるが,会員の熱意の共有の程度は,おそらく弁護士の公私の団体の中で最も強いのではないかと感じられる。対象としている社会事象が,卑劣な「悪」であること,しかしながらなかなかに難しい問題が山積していること,全国の弁護士同士が適切に情報及びノウハウを共有していかなければ被害の根絶は覚束ないだろうことが強く自覚されているからであろう。
 私は,現在,「東京代表」という今までになかった肩書をいただいているが,これは,最近の事務局長経験者で在京の若手を執行部に入れ,機動的な対処を可能としようという現執行部(山崎省吾代表,平田元秀事務局長)の思惑だろう。
 今回の大会では,私はいくつかの裁判例の報告をさせていただき,強制執行手続についての新たな試みを紹介させていただいた上,「詐欺的金融商品取引業者からの現実的な被害回復に向けて」と題するシンポジウムで発言する役目をいただき,一応,つつがなく役目を果たすことができたと思う。
 さて,そのシンポジウムでも議論の焦点となった,預金債権に対する強制執行手続において取扱支店の特定を要するか,という論点であるが,さすがに最決平成23年9月20日が出たので,やはり意気消沈していたきらいがあったことは否めない。
 ところが。
 平成23年10月26日付で,東京高裁が,「第三債務者の複数の店舗に預金債権があるときは,預金債権額合計の最も大きな店舗の預金債権を対象とする。」という差押債権の記載方法を「特定」があるとして申立てを却下した東京地裁の決定を取り消したのである。
 上記最判の射程はそんなに広いものでもなかろうし,23条照会との関係などに言及もしない理由付では広く納得を得ることは難しかろうとは考えていたが,まさか,こんなに早く議論の「再燃」を開始させる決定が,しかも東京高裁から出るとは思っていなかった。
 この問題は,まだまだ終わっていない。民事執行制度の実効性(民事訴訟制度の実効性とほとんど同義である)を高めるための活動は,呼吸を止められてなどいない。(荒井哲朗)

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