説明義務の範囲

金融商品に関わる訴訟をやっていると,金融商品の販売を勧誘する者は,当該商品のリスクについて,どの範囲までのことを説明する義務を負うのかという問題にしばしばぶつかります。
その際に,次のような暴論に出会うことがあります。

「リスクが大きい金融商品は相応にリターンが大きくなるように設計されていることは,いわば常識に属する事柄であるといえ,この点をあえて投資経験を有する者に説明する義務はない」(ある裁判例から引用)

一見すると,もっともな意見であるように思えますが,実は非常に危険な立論であって到底受け入れられません。

当該金融商品の持つリスクとリターンが見合っているのか,特にリスクとリターンが非対称である場合,例えばリターンはクーポン10%で限定的ですが,損失が生じる場合には元本が限定なく毀損していくというオプションの売りのような利益構造の場合(0が下限である場合もある),上述したリターンで,元本全欠損のリスクを負うことが見合っているのかどうかは,元本欠損が生じる確率をも考慮に入れなければ判断することはできません。その際には,過去にどの程度の元本欠損事由が生じているのか,そのような事態が生じる可能性(確率)はどの程度あるのかは,投資判断を開始するかどうかの判断に当たって極めて重要になります。

また,得られるとされている利益から,実は多くの手数料や利益が抜かれている場合,やはりリスクとリターンが見合わない可能性が出てくるので,販売業者等がどの程度の手数料や利益を抜いているのかは,必ず説明してもらわなければならない事由といえます。

特に近年は,銀行や銀行系証券会社から,仕組債(デリバティブ取引が組込まれた社債)等内容が複雑難解で手数料の取られ方も不明瞭な金融商品が,一般投資家にも販売されている世の中なので,一層上記立論は暴論であるといえます。

説明義務の範囲は,商品特性や,被害者の属性にも関わってきますので,一概には論じられませんが,販売者側に厳しいものが求められるのは間違いありません。

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