ファンドまがい商法の立証工夫②+今月の1枚(5月)

【今月の1枚】

2016-5.13-1

いすみ鉄道:西大原-上総東 「初夏の風に乗って」

1 ファンドまがい商法の立証工夫 
 昨年の12月8日のブログで「ファンドまがい商法の立証の工夫」ということでブログを書きました。 
 当該ブログでは,裁判例を挙げてどのような規範を立てていくべきかといったことについて書き,実際にどのように立証していくかといった点については,次回書くとしたところ,複数の先生から「続きはどうなっていますか」といった問い合わせがありました。
 そこで今回は,その点について書いてみたいと思います(遅くなってしまいすみませんでした。)。

【規範】
 金融商品取引といえるには,その取引から生じる損益が,投資した者に適切に帰属させる実質を備えているものでなければならない
 【それらを基礎付ける事実(獲得目標)】
 ?出資者に説明した資金運用の基本的枠組みを逸脱した運用をしていたこと
 ?伝えていた利益を出すことが経済常識に照らしてあり得ない
 ?今日に至るまで運用の実態は明らかにできない
 ?出資金が1円も返金されない合理的な理由が説明されない
という点については,昨年の12月8日のブログで書きました(ご参照下さい。)

ア 誰がどのような立証活動を行うことが考えられるか
・原告:求釈明の活用
・被告:求釈明事項に回答する
 そしてこの際,金融商品取引は運用に関する証拠は業者側のみにある,真っ当な金融商品取引であるならば求釈明事項はいずれも明らかにできる事項である,これらを明らかにできないということは,損益が投資した者に適切に帰属させる実質を備えていないものであることが推認される(規範)という前提,裁判所によく理解させることが重要だと思われます。
 なお,この点について,原告としては,文書提出命令まで考えるということもありえますが,原告の目標はそもそも,業者側が回答できない,文書が存在しない(だから損益が投資した者に適切に帰属させる実質を備えていない)というところにあるので,そこを考えると,求釈明の活用がより重要であると思われます。

イ 求釈明事項として何を求めるか
 この点は,基本的には事案毎に個別具体的に考えるしかないのですが,基本的な考え方としては,ファンドのスキームを大枠で捉え,それを前提とし,
 ?ファンドについて,もし実体のある取引であるならば当然に存在すべきもの(取引履歴等)
 ?ファンドの販売の前提として行った調査の結果や見通しに関する資料,運用先に関する調査結果
 ?資金の流れ(いくらが出資にまわされたか,使途不明金はいくらか)
 ?出資金が1円も返金されない合理的な理由を説明させる
 こういったことを客観的資料を提出させながら求めていくことになると思います。
 やはり重要となってくるのは,「求釈明に十分な解答がなされない限り,本件商品は,金融商品として適切な商品とはいえない」という認識を裁判所に持ってもらえるかどうかだと思います。
 ですので,訴状で漫然と釈明を求めるのではなく,裁判所と意思疎通ができてから求釈明という流れも自分はよくやります。
 また,求釈明事項は,余り網羅的にならず,絞っていくのも重要なのではいかと思っています。

ウ 仮に求釈明に応じて資料が出てきた場合の視点
 釈明に応じて回答が全くなされない場合にはそれで良いのですが,業者から一定の回答がなされることもあります。
 その際には,一定のものが出てきたのだから全くの架空取引とはいえず,商品性に問題があるとまではいえないという流れにならないように注意が必要です。
 具体的には,以下の視点が有用だと思われます。
 ?取引履歴に関しては,損益の結果のみが記された書面では足りない
 ?出資者には月5%(年間60%)を恒常的に出すと伝えて10億円集めた。しかし5億円しか出資にまわしていない。そうすると,資金を年間3倍以上にし続けなければ成り立たない
 →このような商品,商法は,経済常識に照らしてあり得ない
 ?出資金が1円も返金されない合理的な理由について価格変動リスク,為替リスクが挙げられた
 →仮にそれらリスクが顕現化しても,出資金が0円にはならない。
 →本件はパンフレット記載のリスク(事前に告知されたリスク)が顕現化して,出資金が1円も返金されないという事態が生じたのではない

 これら視点によることにより,架空取引か否かという単純な視点に陥ることなく,「損益が投資した者に適切に帰属させる実質を備えていたといえるのか」といった視点で商品を検討することに繋がっていくと思います。

2 今月の1枚 
 先日,祖母が他界し,悲しみに暮れたゴールデンウィークでしたが,気持ちを新たに。

 冒頭の1枚は,春を過ぎ,田畑に水が入る,そんな美しい日本の原風景の中を走る列車。
 この日は,初夏の風に吹かれ,ゆっくりと走り抜けていきました。

 もう1枚は,春爛漫の中,汽笛一声,渓谷を列車が走り抜ける瞬間を。
 沿線に咲いているのは,ヘッドマークに書かれているとおり花桃です。

2016-5.13-2

わたらせ渓谷鐵道:神戸-沢入 「この列車に乗って…」

3 追記
 列車名は「サロンカーなにわ」,お召列車にも使用されるJR西日本が誇る伝統の名列車です。
 この日は夕日に照らされた田園風景を走る姿を初夏の北陸路で迎え撃ちました。

2016.8.25-3

サロンカーなにわ 北陸本線 動橋-粟津 「その編成美に…」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)