判決報告,鉄道報告

1 判決報告

先日,以前ご報告した東京地方裁判所平成26年3月24日判決の控訴審における判決が出ましたので,ご報告致します。
事案は,金の現物取引を行おうとして業者に接触したところ商品先物取引を開始させられ,1か月半の間に1500万円を超える取引損が生じたという事案です。

東京高判平成26年10月8日
業者:第一商品

金の現物取引を行おうと思い,被告会社に連絡を取ったら商品先物取引を勧められ開始させられたという点について,原審は,「投資意向についても,金地金取引を行うという安全重視の投資意向であった原告に対し,元本超過が発生しうる危険性がある商品先物取引を勧誘することは原告の投資意向に反する」と認定しておりましたが,かかる判断は維持されました。第一商品はいつもこのパターンですから,これが維持されたことはよかったと思います。

また,同裁判例は,1審原告には,取引口座開設申込書に記載した年収1000万円及び流動資産4000万円に相当する資産があったとみることはできないとし,1審原告が本件取引口座申込書に,自己の資産や収入と大きく相違する資産及び収入の金額を自らの一存で記載する理由は考えがたいことに鑑みると,同記載は,被告外務員が1審原告に対して,当該金額を示して記載させたとみることが合理的であるとし,改めて被告外務員が主導して記載させたと認定しました。この点も,実態を正解した非常に良い判断です。

さらに,差損金請求についても,差損金請求を認めることは信義則上,著しく正義に反するとし,同請求を認めませんでした。

金融商品取引の事案では,口座開設申込書に業者の外務員の誘導で取引を開始できるように実際より多くの流動資産の記載をさせられることが往々にしてあります。

裁判になると業者は,業者は顧客の申告通り記載させた,実際には申告額が保有していないことは知らなかったなどの反論を必ずします。

そのような中,裁判例は,事案を正解して,被告外務員が主導して記載させたと認定しました。この点は,非常に有意義な判決だと思います。

この裁判では,荒井先生の効果的な再主尋問があったことは以前ブログでご報告したとおりです。
このエピソードは,研究会などで発表しても,いつも好感を持って受け止めらるエピソードです。

これまで先物事件を複数件担当し,いくつかの判決を得ました。
本件のような比較的良かったといえる解決がある一方で,この事案でどうして請求が認められないのかといった悔しい思いをした事案もありました。
その悔しい思いは今でも同じですし,その事案の依頼者のこと,その判決のこと,そして,その裁判官のことは今でも忘れたことはありませんし,これからも絶対忘れないと思います。

2 鉄道報告

久しぶりに鉄道写真をアップしたいという衝動に駆られています。

今年の自分には,鉄道写真に関して,一つのテーマがあります。
それは,思い出の彼方に去りつつある寝台列車群を写真として残すということです。

「寝台列車」,それはその響きだけで,哀愁や旅情が漂う別格の存在です。

近年,拡大する新幹線網や競合する飛行機に押され,ほんのわずかを残して次々に去っていきました。
おそらく,数年後には,全ての寝台列車が日本の鉄道図から去ってしまうかもしれません。
その一つの目安は,再来年の北海道新幹線の開業だと思っています。
そんな新幹線計画,どこかになくなってと思ったりもしますが,現実はなかなか厳しい…。
(因みに,最近は「ななつぼし」に代表される豪華列車が,次々に営業開始,発表され,話題になっていますが,あれはもはや哀愁や旅情などいった感情とは無縁の乗り物です。)

寝台列車は,毎年,ひとつ,また,ひとつとその姿を消していきますが,その散り際が,切なくて,また何となく美しい。
散り際は,その散るという事実だけでもう美しいからでしょうか…。

そんな寝台列車を写真に残しておきたいと,まあ,そんな理由を自分つけて,追っかけています。
対象は,主に,以下の3つ。

トワイライトエクスプレス
カシオペア
そして…,北斗星

その中で今日は,トワイライトエクスプレスを紹介したいと思います。

トワイライトエクスプレスは,大阪と札幌を結ぶ寝台列車で,道中,2回に渡り機関車を交代し,北の大地を目指します。
大阪を昼の12時に出発し,京都から湖西線には入り琵琶湖を見ながら昼食を取った後は,福井,金沢と日本海沿いをゆったりと北上,車窓には日本海や白山,立山連峰を望みます。
真っ昼間から列車のベッドに横になって,車窓を楽しむ,まさに非日常,最高です!
そして,新潟のあたりで,列車は夕暮れの日本海を望みます。
サロンカーから眺める日本海の夕日は,この列車の名前(トワイライト)の由来にもなっており,道中のハイライトの一つです。
そして,列車は(新潟の)新津駅を最後に,翌日の(北海道の)洞爺駅まで,約12時間,駅に停車しません(ただし,運転停車は除きます)。

その後,列車は,夜の日本海縦貫線をひた走り,深夜の青函連絡トンネルを抜け,早朝,北の大地に躍り出ます。目が覚めるとそこは北海道です。
そこで乗客は,噴火湾や北海道の雄大な景色を車窓に見ながら食堂車で朝食。
長駆長旅の果て,終着札幌には,朝の10時に到着します。

総行程約1500km,所要時間22時間,日本最大スケールの寝台列車です(西村京太郎シリーズのオープニング風に)。

これを「嬉しい!」と感じるのがマニア,「長いな?」と感じるのが,一般人です(笑)。

DSC_2900-2
トワイライトエクスプレス 長万部-静狩 ※クリックすると大きくなります

自分はどちらかといううと,雄大な風景の中を走る列車を撮るのが好きなのですが,この日は大平原を2両のディーゼル機関車が客車を豪快に引っ張る姿に圧倒され,列車を大迫力で捉えました。

地平がどこまでも見渡せる北海道で,はるか先に2灯のライトを認めると,臨戦態勢。
徐々に近づくにつれ,2両ののディーゼル機関車が爆音を響かせて目の前に迫りました。

いや?迫力のカット(マニア向け)を撮れました。

次は,近いうちにカシオペアあたりを(笑)。