CO2排出権取引業者に対する訴えの提起(1)

 CO2排出権証拠金取引というものは,現在,唯一法規制の隙間に残っている詐欺商法である。特商法の適用はあるし,「役務」についての解釈の拡大によって少しは使いようも増すようにも思われないではないものの,精算金すら返還しようとしないような業者も多い中で損害賠償請求権をきちんと行使・実現するには,特商法は無視して良いほどちっぽけな存在である。
 さて,今まで多くのこの種取引被害を扱ってきて,訴訟提起前の任意の賠償を受けてきたが,この度,昔なじみの(海外先物オプション取引,外国為替証拠金取引,ロコロンドン貴金属取引などをやっており,10回程度も相手方となったことがある)業者が任意の賠償を拒否してきた(全額支払いたいとはいうものの,先週金曜日にやってきた管理部担当者は精算金相当金すら長期の分割に含めて欲しいなどと言い出した)ので,本日(6月28日),業者及び役員・従業員らを被告として損害賠償請求の訴えを提起した。
 本件「取引」のような「私設」「海外」「証拠金」取引である私的差金決済取引は,賭博として刑事罰を以て禁止される行為を,あたかも何らかの真っ当な金融商品取引であるかのような外観を生じさせて,一方的に証拠金(及び手数料)を徴求し(保全の措置が法律上整備されているわけではないから利益金はおろか証拠金でさえ返還される保証はなく,現実に平成17年には外国為替証拠金取引業者の多くが証拠金を返還することなく破綻したことは記憶に新しい。そして,現に,本件での被告会社も,取引証拠金の残金さえ返還しようとしない。),差損益計算に大きな影響を及ぼす差金決済指標である外国為替及びCO2排出権の価格を一方的に業者において決定することとして(レートは勝手に設定できるのであるから,損失も利益もいかようにでも加減しうるのである。つまり,本件における被害者の「損失」など,業者によっていかようにも増減できるものなのである),業者において業として,図利目的で,常習的に行われるものであり,そのようなものであると聞かされれば通常人であればこのような取引を行うとはおよそ考えられないものであるから,本件商法はそれ自体「いかさま賭博」,「詐欺賭博」とでもいうほかはないものである(したがって,本件取引の実際を明らかにしない詐欺的勧誘が不可避的に行われることになる。「高い利益が見込まれます」という勧誘をする一方で,「そうは言うけれども,実はあなたに得になってしまうと私の会社が自腹でそれを支払うし,利益が得られないから,本当はあなたには損をしてもらわないと会社としては困るのです。」という説明を従業員はしなければならないが,このような説明がなされるとはおよそ期待することはできない。)。
 これをあたかも何らかの真っ当な金融商品であるかのように誤信させて利益相反状況その他の顧客に不利益な事情を悉く秘したまま一般消費者を勧誘してこれを行わせて証拠金等名下に金銭の交付を受ける行為は,公序良俗に著しく反し,私法上も不法行為を構成させるに十分な違法性を有するものというべきである(法令による違法性阻却のない私的差金決済取引の存在を認めることは一般の取引行為者の保護をその目的(例えば金融商品取引法1条,商品先物取引法1条)とする金融商品取引関連法令と様々な点で矛盾を来すことになる。一般取引者の保護の観点から定められた法令の趣旨を根本から大きく崩してしまう私的差金決済取引を作出して勧誘し,これを行わせることは,私法上の違法性が認められるといわなければならない。これを許すときには,金融商品取引秩序が根本から瓦解することになる。)。
 さらに,本件の被告会社は,金融商品取引に関する何らの許可・登録とも無縁であり,違法な取引・勧誘を行わない人的構成,組織体制にある法律上の担保を欠き,取引上の義務の履行を担保しうる財務状況(自己資本比率規制がその最も基本的なものである)についての制度上の担保も全くなく,財務状況を開示させる制度的担保もなく,現に財務状況は開示されておらず,分別管理の法令上の担保もなく,現に分別管理がなされているか否か,なされている場合にその状況について公開されてもおらず,そのような状況で,いきなり被害者方に押しかけて,構造的利益相反状況や公序良俗に反する取引による利益であるとして利益金支払請求権が法律上保護されない可能性が相当程度に存在することを説明せず,「CO2排出権取引」の証拠金名下に金銭を交付させているのであって,およそ正当業務行為として違法性を阻却されるものではない。
(続く)

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