リソー教育株主被害弁護団

【速報】平成29年3月28日,第1次集団事件の判決の言渡しがありました。概要,虚偽記載を認め,金商法21条の2第1項(2項ではなく)に基づき,平成25年12月の第三者委員会の設置のお知らせ後である同月16日の取引終了時から売却までの下落分を相当因果関係のある損害とし,リソー教育側が出してきた(相当因果関係のない下落分がある旨の)意見書に基づく主張,損益相殺,過失相殺の主張をいずれも排斥して請求を認容しています(株主1名については相当因果関係がないとして棄却)。 
⇒金融・商事判例1517号23頁
⇒金融法務事情2070号74頁
⇒消費者法ニュース112号309頁
⇒証券判例セレクト53巻1頁

株式会社リソー教育の有価証券報告書虚偽記載に関する被害弁護団立ち上げのお知らせ
平成26年6月16日,17日の各社報道により周知されているところですが,当弁護団は,平成26年6月16日,第1次集団訴訟を提起しました。

平成26年2月26日
平成26年6月18日改訂

リソー教育株主被害弁護団
弁護士  荒 井 哲 朗
同   浅 井 淳 子
同   太 田 賢 志
同   佐 藤 顕 子
同   五 反 章 裕
同   見 次 友 浩
同   磯 雄 太 郎

1.当職らは,今般,株主被害者からの相談を受けたことを契機として,弁護団としての集団的対応をすることが適切な事案であると判断し,株式会社リソー教育の有価証券報告書虚偽記載に関する被害弁護団を立ち上げることとした。
 金融庁は、平成26年4月21日,株式会社リソー教育に対し,納付期限を平成26年6月19日とし,金4億1477万円の課徴金を国庫に納付することを命ずる旨の決定を行った。当該課徴金納付命令は,悪質な粉飾を行った以上当然のことであるが,これにとどまらず,悪質な粉飾によって株主に被らせた損害は正当に償わせなければならない。
以下は現時点での暫定的な方針であり,特に対象株主の範囲,損害額の捉え方については,今後方針を変更する可能性が相当程度にある。
 なお,当弁護団としては,未返還受講料の問題についても対応を検討したいと考えている。

(1)事案の概要
 以下の経緯で,教育学習指導事業を営む株式会社リソー教育及びその連結子会社が,平成20年2月期から平成26年2月期第3四半期までの間,不適切な会計処理を行っていたものであり,不適正計上額は過去6年余りの累計で売上高約83億円,経常利益約83億円,純利益約58億円に上ることが判明した。
 平成25年11月,証券取引等監視委員会の任意調査を受ける
 平成25年12月16日,第三者委員会の設置がなされ,その旨の「お知らせ」が同社ホームページに掲載される
 平成26年2月10日,第三者委員会による調査報告書が株式会社リソー教育に提出され,その旨の「お知らせ」が同社ホームページに掲載される
 平成26年2月14日,過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を関東財務局に提出しこれを公表(一部は同月17日)
 同社の株価は,平成24年11月以降安定的におおよそ600円以上で推移していたが,平成25年12月16日の第三者委員会の設置公表後と,平成26年2月10日の第三者委員会の調査報告書の提出公表後の二段階にわたって下落し,平成26年6月17日現在の終値は241円となっている。当該株価の下落は上記の不適切な会計処理の公表が行われたことに起因するものと考えられる。

(2)弁護団が受任する被害者
 処分価額が取得価額より低額になる方。現時点においては,最終的な損害額については,取得価額から処分価額を控除した価額(取得自体損害説による場合)としている。

(3)損害額
 上記(1)記載のとおり,本件では平成25年12月16日,平成26年2月10日と二段階にわたる事実の発表があり,これに連動して市場における株価にも二段階の下落が認められる。かかる事実や,株主(元株主を含む)の取得・処分時期との兼ね合い,その他の事情から,本件における損害額の算定には様々な難しさがあるが,現時点においては,当該有価証券報告書等の虚偽記載等がなければ株式を購入することはなかったとして,現状,取得価額から処分価額を控除した価額(取得自体損害説)を損害として算定しているが,金融商品取引法第21条の2第1項に基づく損害も重要な争点である。

(4)争点
 上記のとおり,同社株価は,平成25年12月16日の第三者委員会の設置発表後と,平成26年2月10日の第三者委員会の調査報告書の提出発表後の,二段階にわたって下落している。本件ではいずれも有価証券報告書等の虚偽記載等に基づく株価下落として,平成21年5月27日以降取得し,平成25年12月17日以降株式を処分した原告,平成25年12月17日以降取得し,平成26年2月10日以降株式を処分した原告いずれも金融商品取引法第21条の2第1項に基づく損害であると主張しているが,これらの損害及び因果関係が争点となるものと予想される。

(5)手続の選択
 被害者数が多いことが予想されるため,一定程度集団的な対応をせざるを得ない。被害回復の程度は,より多いに越したことはないが,今後も変化するであろう諸般の状況を総合的に判断する必要がある。訴訟等で勝訴したとしても,結局1円も回復できない可能性もないではない(もっとも,本件においては会社が破綻する事態となった場合には役員らに対する損害賠償請求を提起することを検討する予定である)。訴訟前ないし訴訟上の和解をするときには,今後の手続の過程であらわれるであろう諸般の事情を考慮して,実損害金額(交付金額)との割合で解決のラインを決定することになる。
 なお,被害者の中には,交付金額以上に深刻な精神的苦痛等を受けている者も相当数あると思われるが,集団的,画一的な手続の進め方によって,少しでも早期に解決を図りたいことなどから,慰謝料請求をすることはしない。いつどのような手続を行うかの選択,和解をするか否か,するとしてその時期,金額等については,当弁護団が正当であると思うものを選択する。多数の被害者で集団的に手続を採る場合に,相手方が個別の和解に応じることは考えにくく,一律に手続を進めることになると思われる。

(6)受任手続
 着手金は,損害額(上記(2)及び(3)記載のとおり,損害額の算定の方法には様々なものがあり得る。)の2%?3%程度,報酬は現実に被害回復がなされた金額の10%程度とする予定である(参加者数やおおよその意向によって決定する予定である。)。追加の実費であるとか費用を徴収することはない。ただし,現実に費消した実費は,現実の被害回復を得たときにはそこから控除することとする(例えば,印紙代などの実際に費消した費用はその都度請求することはしないし,現実の返金ないし賠償が得られていない場合には事後に請求されることもないが,現実に返金ないし賠償が得られた場合にはそこから被害者への送金額を按分計算する前に控除する。)。

2.弁護団事務局
〒100-0012
東京都千代田区日比谷公園1-3
市政会館地階 あおい法律事務所
リソー教育株主被害弁護団
TEL 03-3501-3600 FAX 03-3501-3601
riso-bengodan@aoi-law.com

3.その他の注意事項
 遠方の方も負担なく参加できるようにしますが,訴訟等のために個別に事情を聞く必要がないではありませんし(本件では個別性はあまりないとは予測していますが),関係資料の提供や有益であると考えられる情報の提供は積極的にお願いします。
 家族等に内緒にされている場合には,法律事務所の名称の入っていない封筒を用いるなどの配慮をしますが,そもそも民事訴訟手続は公開の手続でもあるから,依頼していることが絶対に他人に知られないという保証はできないことをあらかじめご了承ください。 なお,相手方がある問題でもあり,ここでは微妙な問題を含む部分については十分な記載ができないこと,本人確認が必ずしも十分ではない電話による問い合わせには必ずしも詳細を告げることができない場合があることを予めご了承ください。

以上

 

リソー教育株主被害弁護団Q&A
——————————————————————————————————————————————–

第1 対象となる株式について

1 今回損害賠償の対象となる株式の範囲を教えてください。    
 平成21年5月27日以降に取得し,平成25年12月16日の東京証券取引所の取引終了後まで引き続き所有していた株式,及び,平成25年12月17日以降に取得し,平成26年2月10日の東京証券取引所の取引終了後まで引き続き所有していた株式です。なお,弁護団参加者は,参加申込時点で株式を保有されていない方に限らせていただきます。詳細は後記5をご確認ください。 

2 平成21年5月27日以降に取得し,平成25年12月16日以前に一部売却した場合には参加できますか。    
 平成21年5月27日以降に取得し,平成25年12月16日以前に一部売却した場合には残部の株式についてのみ参加できます。

3 平成21年5月27日以前に取得した株式が対象とならないのはどうしてですか。    
 今回の損害賠償請求は,平成21年5月27日付第24期有価証券報告書以降平成25年10月15日付第29期第2四半期報告書提出までに行われた虚偽記載等に基づいて損害賠償請求をするものですので,当該有価証券報告書等の公衆縦覧期間である平成21年5月27日以降に取得した株式が対象となります。

4 平成21年5月27日以降に購入した株式でも,平成25年12月16日までに売却した株式(平成25年12月17日以降に取得した株式については平成26年2月10日までに売却した株式)が損害賠償の対象とならないのはなぜですか。 
当弁護団によるリソー教育に対する訴訟は,第24期ないし第29期の第2四半期にわたり有価証券報告書・四半期報告書の虚偽記載等が行われ,これが公表されたことによるリソー教育株式の値下がりによる損失を賠償請求するものです。金融商品取引法(以下,「金商法」といいます。)21条の2第1項本文においても,有価証券報告書等について重要な事項に虚偽記載等があったときは,これら書類の提出者(発行者)は,有価証券報告書等が公衆縦覧に供されている間にその提出者が発行している株式等の有価証券を,虚偽記載等を知らずに流通市場で取得した者に対して,上記虚偽記載等により生じた損害の賠償をしなければならないと定めています。  
 今回の損害賠償請求は,このように,第24期ないし第29期第2四半期の有価証券報告書等に虚偽記載があったことに基づき生じた損害について賠償請求するものです。虚偽記載の公表日を第三者委員会の設置の発表がなされた平成25年12月16日とするか,第三者委員会による調査結果の発表がなされた平成26年2月10日とするかについては議論の余地がありますが,少なくとも平成25年12月16日以前(同日を含みます。なお,正確に言えば,同日の公表時間の前後で分かつべきことになりますが,多くの参加者の手続の便宜の点を重視して同日中の取引については参入しないこととします。)の売却により被った損失は,上記有価証券報告書の虚偽記載に基づく値下がりに基づく損失でないことが明らかであるため,その対象となりません。
 また,平成25年12月17日以降に取得した株式については,第三者委員会による調査結果の発表がなされた平成26年2月10日が株価の下落の要因となったといえ,反対に平成26年2月10日以前の売却により被った損失は,上記有価証券報告書の虚偽記載に基づく値下がりに基づく損失でないことが明らかであるため,その対象となりません。弁護団では,訴え提起の際,いくつかのケースに場合分けして行うことも検討しています。

5 現在も株式を保有しています。弁護団に参加できますか。
 株式を保有したままでも損害賠償請求はできますが,弁護団参加にあたっては,損害額の算定の関係及び今後訴訟を行っていくにあたっての裁判所の心証に影響を与えかねないことから,弁護団参加申込時点で現在株式を保有していない方に限定させていただきます。もっとも,売却するかどうか,いくらで売却するか は株主各自の投資判断であるため,自己責任で行っていただきます。

6 信用取引で買った株は対象となりますか。  
 対象となります。

7 他人名義で株式を取得した場合でも弁護団に参加できますか。    
 他人名義で株式を取得した方は参加できません。誰が真実の保有者であるかについて個別の立証を要し,一部の参加者の事情により手続きを著しく遅延させるおそれがあるためです。


8 未成年者でも参加できますか。

  できます。但し,親権者の同意が必要であるため,戸籍謄本1通と,委任約諾書に親権者による同意を記載することが必要です。

9 数人の株主のうち代表の一人が弁護団へ加入することはできますか。   
 できません。各株主ごとに参加申込みをお願いします。

第2 損害賠償請求金額について

 主位的には,当該有価証券報告書等の虚偽記載等がなければ株式を購入することはなかったとして,取得価額から処分価額を控除した価額(取得自体損害説)を損害として算定すべきものと主張していますが,金融商品取引法第21条の2第1項に基づく損害も重要な争点となるものと考えています(上記1(3)(4)参照)。

第3 弁護士費用について  

1 弁護士費用はいくらですか。    
 弁護士費用は,以下の計算式により算出される金額(税込み)です。
 これは,通常の訴訟事件を委任する際の着手金よりも低額にしてありますが,弁護団全体の最大利益を図る必要や弁護団参加者間の公平を考慮しなければならず,必ずしも自己の利益を他の弁護団参加者との関係で優越する地位にあることを主張できない場面があること,また,損害額の算定方法について,金商法21条の2第2項に基づく推定によるのではなく,取得自体損害説によることから(当弁護団としては,リソー株式の価額は平成25年12月16日と平成26年2月10日の2段階にわたり大きく下落していることから,取得自体損害説による方が適切であると考えています。),裁判所においてどのような判断がなされるか必ずしも明らかでないことも考慮してのことです。  
(1)着手金
 平成20年5月27日以降の株式取得価額から平成25年12月17日以降の株式売却価額を控除した金額×2.16%+3万円
*配当金などの控除の必要はありません。
*株式の購入・売却等の時期によっては,平成20年5月27日以降の株式取得価額から平成25年12月17日以降の株式売却価額を控除した金額が,損害賠償請求額と合致するわけではありません。
*なお,上記計算式によって計算した場合100万円以上となる場合には,別途協議して着手金を決定することとします。   
(2)報酬金 
回収金額の10.8%  

2 着手金と報酬金はいつ支払わなくてはならないのですか。
(1)着手金について    
 着手金の入金締切日は平成26年7月末日です。    
 同期間中に弁護団指定口座に振り込む方法によりお支払いください。 

(2)報酬金について    
 報酬金は,弁護団が回収した金額からお支払いいただきますので,参加者から新たなご入金をいただく予定はありません。全く回収できない場合は弁護団の報酬金はゼロになります。

3 弁護団への追加費用が必要になりますか。必要な場合はどれくらいですか。
 上記着手金のほかに,訴え提起の際の印紙代やその他の調査費用などの実費がかかります。実費については,暫定的に着手金から出捐することとしますが,事件終了時に回収した金額から控除します(着手金の計算式の「プラス3万円」は下限を画するものであり,実費ではありません。)。実費は,そこまで大きな割 合になるとは予測していません。たとえばアーバンコーポレイション株主被害弁護団の場合には,4年半を費やして複数の手続を行いましたが,回収金額に占める実費の割合は7%程度でした。
  なお,報酬金は回収した金額から上記実費を損害額で按分して控除した金額の中からお支払いいただきますので,参加者が着手金のほかに新たな出費をすることは原則としてありません。

4 途中で弁護団を脱退した場合や敗訴した場合には,着手金は返還されますか。
 原則として着手金は一切返還されません。よくご検討の上お申し込みください。 特に,取得金額と売却金額の差額が数万円以下の場合には,着手金及び実費の合計金額が損害賠償請求金額を上回る可能性もあり,弁護団に参加することが必ずしも合理的であるとは限らないことにご留意ください。  

第4 民事訴訟について

1 提訴の状況。
 平成26年6月16日,17日の各社報道により周知されているところですが,当弁護団は,平成26年6月16日,第1次集団訴訟を提起しました。これに若干名を加える訴訟の提起を近日中に行う予定です。  

2 提訴した後,決着するまでどのくらいの期間がかかるのですか。
 2年程度の期間を予想しています。なお,株式会社アーバンコーポレイション株主被害弁護団においては,4年半の期間がかかりました。

3 勝訴の見込はどの程度ありますか。
 現段階においてははっきりとした見込みは当然わかりませんが,弁護団としてはベストを尽くします。

4 株主代表訴訟とは違うのですか。
 違います。株主代表訴訟は,会社の損害を株主が会社に代わって役員等に対して請求するものであり,仮に勝訴判決が得られたとしても,会社に支払がなされるに過ぎません。今回の訴訟は,株主の皆さんが直接自分の損害をリソー教育(会社)に対して請求するものです。  

5 原告となった場合の負担はどのようなものがありますか。
 原則として皆様の出廷は不要です。また被告らや裁判所からの連絡も原則としてすべて弁護団になされます。したがって参加者の手続上の負担は少ないと考えます。
 ただし,訴訟の後半になって証人尋問が行われる場合があり,その際には依頼者の一部の方に証言をお願いすることがあり得ます。また,訴訟の進行に伴い, 皆様から証拠書類のご提出をお願いする場合があります。このほか,手続の進行に応じて何らかのご協力をお願いする場合があります。いずれも皆様自身が原告当事者であるとの認識をもって最大限ご協力ください。

6 裁判を傍聴しないといけないですか。
 皆様の出廷は必ずしも要求されていません。そして民事訴訟の審理は証人尋問以外は傍聴者には非常にわかりにくいものとなっていますので,せっかく傍聴いただいてもわかりにくいとの印象を持たれることと思います。ただ,多くの方で傍聴席を占めることにより,裁判所に皆さんの気持の強さを印象づけ,被害者が多数いる重要な事件であるとの緊張感を持って審理してもらえるという効果があることは否定できないと思いますので,弁護団としてはできるかぎり積極的に傍聴していただくことを希望しています。

第5 参加申込みにはどのような書類が必要ですか?

 参加申込みには,当弁護団から送付した委任約諾書,訴訟委任状,参加申込書,取引内容申告書申込手続チェックリストのほか,以下の書類が必要です(各1通)。
1.取引残高報告書
2.取引報告書(信用取引の場合)
3.身分証明書の写し
4.申込者の戸籍謄本(未成年者のみ)
5.商業登記簿謄本(法人のみ)

第6 その他  

1 弁護団からの報告はいつころ,どのような方法でもらえますか。  
 時機に応じて報告します。  
 報告の方法は,原則としてホームページ又はメール等でお伝えしますが,重要な事項については郵送でも報告しますので,インターネットの利用が困難な方も,ご心配はないと考えます。  
 なお,インターネット上の情報は,相手方にも伝わりますので,情報内容を制限する場合があることを予めご了解下さい。
 さらに緊急の場合,皆様に直接電話でご連絡することがあることをご了解下さい。

2 家族に内緒で契約しているため弁護団からの報告,連絡を家族にわからないようにしてもらえますか。
 「申込書」に弁護団名での連絡について「否」に○をされた場合は,弁護団から書類を郵送する際,法律事務所名の記載のない無地の封筒でお送りします。
 また,メールや電話のみの連絡とすることも可能です。もっとも,裁判(訴え提起)といった公的手続によることになりますので,絶対に内緒のままにしておくことができる旨の保証はできません。



以上