ブログに何を書こうかと迷っているうちに,主任として取り組んだ事件が判例時報に載ったのでご報告を兼ねて初投稿です。
東京家裁平成28年10月4日が,判例時報2323号135~143頁に掲載されました。
子供のいる夫婦の離婚に際して,子供と同居する親が家事審判が命じた非同居親に子供を面会させる義務に違反した場合に,一回100万円を支払うよう命じた裁判でした。(本件の間接強制金の額には,同居親の収入が高かったことが影響していることを付記しておきます。)
非同居親と子供は,別居から5年以上も面会どころか電話で声を聴くことすらできていない事案でしたが,100万円の間接強制金が定まった直後に,別居後初めての面会が実現しました。長らく,そして複数の裁判手続きが継続していた事件ですが,再開した親子の写真を見たとき,ああ,頑張って本当に良かったと感じました。その後高裁で間接強制金は30万円に縮減されましたが,一度会えるようになった親子の面会は続いています。
この件で思うのは,判決や審判が「紙切れ」,「絵に描いた餅」でないことの大切さです。面会審判でも,養育費でも,金融商品被害や詐欺の損害賠償でも,当事者が司法に救済を求めて戦った結果である裁判書(さいばんがき)の内容がきちんと実現されるためには,強制力が必要です。
裁判の結果を実現する手段は,まだまだ不足していると感じます。事務所全体が全力で努力している分野ですが,裁判所にも,自ら出した裁判結果がきちんと実現されるよう,持てる力をより一層発揮してほしいです。立法府とか,債務者が口座を持っている銀行の中の人とか,裁判所以外の偉い人たちにも,ぜひ。
偉そうなことを書きましたが,初投稿で気合が入っているのだ(これでも。)ということでご容赦ください。