商品先物取引で両建等に関して指導助言義務違反が認められた判決(業者:第一商品)

1 東京地方裁判所平成30年9月28日判決

 少し前になります。商品先物取引の被害事案で,両建について,外務員は,取引開始前に一般的な説明をするのみでは足りず,個別の取引の場面でも両建のリスク等を説明すべきであり,また,実際に両建を選択した後においても,必要に応じて損切りを指導したりする等の指導助言義務を負うとした判決を得ましたのでご報告いたします。

業者:第一商品
損害額:約800万円
顧客の投資経験:被告会社で本件取引の4年前からFX取引を行っており,その他ネットで信用取引,現物株,投資信託,国債の経験等がある人でした

 本件は,両建等の特定売買の勧誘の違法性が大きな争点となった事案でした。
 この点について判決は,まず,「商品先物取引における利益や損失はいずれも顧客に帰するものであるところ,商品相場を確実に予測することは不可能であるから,顧客において利益を得ることができるかどうかは本来不確実である。これに対し,商品先物取引業者は,顧客の相場予測が当たらなくても,取引ごとに手数料収入を得ることができるから,商品相場がどう動こうとも少なくとも損をすることはない」としました。
 そして,法が両建の勧誘を禁止し(法214条8号),両建を理解していない顧客から受託することを禁止している(法214条9号,規則103号9号)趣旨に言及した上で,
「被告らは,商品相場の値動きの予測に精通し,かつ,原告の財産状況や取引経験,本件先物取引の状況を全体として俯瞰できる立場にあるのであるから,…原告の責任と判断に委ねるのではなく,取引開始後の個別取引の場面においても両建のリスク等を原告に説明すべきであり,その結果原告が両建を選択した後も,必要に応じて損切りを指導したり早期の手仕舞いを助言したりする等の指導助言義務を負う」とし本件では外務員が適切な指導や助言をしたとは認められないとしました(過失相殺3割,双方控訴)。
 本判決は,商品先物取引業者と顧客の間には不均衡が存在していることや外務員の立場を正確に指摘した上で,外務員には顧客に対して適切に指導し助言する義務が存在すると指摘しており,大変意義があると思います。

 具体的な裁判例は,弊所のHPの裁判例の欄に掲載してあります。

2 秋を感じる1枚

只見線:キハ40普通列車 会津宮下-会津西方

 只見線は,奥会津を走る風光明媚なローカル線で,大好きな路線の一つです。
 真っ赤なもみじを窓枠のようにして,只見川,橋梁,2両の気動車を覗き込むように写してみました。
 錦秋の只見川沿線は,日本の原風景そのもので,時間がゆっくり流れています。
 

只見線:キハ40普通列車 早戸-会津川口

 こちらはさらに奥地に行った終着駅付近の大志集落とその背景の山々の紅葉を俯瞰しました。
 秋の夕暮れ,斜光に照らされた山々が秋の終わりを告げているようで,もの悲しい雰囲気に…。

 数年前の自然災害で,只見線は現在,ここ会津川口で分断されています。
 地元の悲願である一日も早い全線復興を僕も心から願っています。