株式会社リソー教育の有価証券報告書虚偽記載に関する被害弁護団立ち上げのお知らせ
1.当職らは,今般,株主被害者からの相談を受けたことを契機として,弁護団としての集団的対応をすることが適切な事案であると判断し,株式会社リソー教育の有価証券報告書虚偽記載に関する被害弁護団を立ち上げることとした。
今般,証券取引等監視委員会は有価証券報告書の虚偽記載に基づく金融商品取引法違反により,株式会社リソー教育に対し,約4億円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告する方針とのことである。当該課徴金納付命令は,悪質な粉飾を行った以上当然のことであるが,これにとどまらず,悪質な粉飾によって株主に被らせた損害は正当に償わせなければならない。
以下は現時点での暫定的な方針であり,特に対象株主の範囲,損害額の捉え方については,今後方針を変更する可能性が相当程度にある。
なお,当弁護団としては,未返還受講料の問題についても対応を検討したいと考えている。
(1)事案の概要
以下の経緯で,教育学習指導事業を営む株式会社リソー教育及びその連結子会社が,平成20年2月期からの6年余にわたり,不適切な会計処理を行っていたものであり,不適正計上額は過去6年余りの累計で売上高約83億円,経常利益約83億円,純利益約58億円に上ることが判明した。
平成25年11月,証券取引等監視委員会の任意調査を受ける
平成25年12月16日,第三者委員会の設置がなされ,その旨の「お知らせ」が同社ホームページに掲載される
平成26年2月10日,第三者委員会による調査報告書が株式会社リソー教育に提出され,その旨の「お知らせ」が同社ホームページに掲載される
平成26年2月14日,過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を関東財務局に提出しこれを公表(一部は同月17日)
同社の株価は,それまでおおよそ600円以上で推移していたが,平成25年12月16日の第三者委員会の設置公表後と,平成26年2月10日の第三者委員会の調査報告書の提出公表後の二段階にわたって下落し,平成26年2月25日の終値は337円となっている。当該株価の下落は上記の不適切な会計処理の公表が行われたことに起因するものと考えられる。
(2)弁護団が受任する被害者
処分価額が取得価額より低額になる方,又は現在も株式を保有する方(訴え提起時点においても保有している場合には,暫定的にその時点での株価の市場価額が取得価額よりも低額であれば原告となり得る。最終的な損害額は,取得価額から事実審の口頭弁論終結時の市場価額を控除した価額(取得自体損害説による場合)である。)。
(3)損害額
取得価額から処分価額又は事実審口頭弁論終結時の市場価額を控除した価額(取得自体損害説)を原則とすることを検討している。もっとも,上記(1)記載のとおり,本件では平成25年12月16日,平成26年2月10日と二段階にわたり事実の発表があり,これに連動して市場における株価にも二段階の下落が認められる。かかる事実や,株主(元株主を含む)の取得・処分時期との兼ね合い,その他の事情から,損害額の算定には様々な難しさがあり,金融商品取引法21条の2第2項の損害額の推定規定を基礎としつつ,民事訴訟法248条(「損害が生じたことが認められる場合において,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは,裁判所は,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,相当な損害額を認定することができる。」)に基づく認定を求めるなどの工夫を要すると考えている。
(4)争点
上記のとおり,同社株価は,平成25年12月16日の第三者委員会の設置公表後と,平成26年2月10日の第三者委員会の調査報告書の提出公表後の,二段階にわたって下落している。平成25年12月16日の第三者委員会の設置公表が「株式会社リソー教育及び同社の連結子会社である株式会社名門会の不適切な会計処理の疑義に関する調査」開始を公表するものであり,これが金融商品取引法21条の2第2項の損害額の推定規定の基準となる「虚偽記載等の事実の公表」にあたるかは,議論の余地があろう。
「虚偽記載等の事実の公表」の判断基準については,「虚偽記載等のある有価証券報告書等の提出者等を発行者とする有価証券に対する取引所市場の評価の誤りを明らかにするに足りる基本的事実について,多数の者の知りうる状態に置く措置がとられれば足り,有価証券報告書等に記載すべき真実の情報につき上記措置がとられたことまでは要しない。」とする最判(最判平成24年3月13日民集66?5?1957)がある。
(5)手続の選択
被害者数が多いことが予想されるため,一定程度集団的な対応をせざるを得ない。被害回復の程度は,より多いに越したことはないが,今後も変化するであろう諸般の状況を総合的に判断する必要がある。訴訟等で勝訴したとしても,結局1円も回復できない可能性もないではない(もっとも,本件においては会社が破綻する事態となった場合には役員らに対する損害賠償請求を提起することを検討する予定である)。訴訟前ないし訴訟上の和解をするときには,今後の手続の過程であらわれるであろう諸般の事情を考慮して,実損害金額(交付金額)との割合で解決のラインを決定することになる。
なお,被害者の中には,交付金額以上に深刻な精神的苦痛等を受けている者も相当数あると思われるが,集団的,画一的な手続の進め方によって,少しでも早期に解決を図りたいことなどから,慰謝料請求をすることはしない。いつどのような手続を行うかの選択,和解をするか否か,するとしてその時期,金額等については,当弁護団が正当であると思うものを選択する。多数の被害者で集団的に手続を採る場合に,相手方が個別の和解に応じることは考えにくく,一律に手続を進めることになると思われる。
(6)受任手続
着手金は,損害額(上記(2)及び(3)記載のとおり,損害額の算定の方法には様々なものがあり得る。)の2%?3%程度,報酬は現実に被害回復がなされた金額の10%程度とする予定である(参加者数やおおよその意向によって決定する予定である。)。追加の実費であるとか費用を徴収することはない。ただし,現実に費消した実費は,現実の被害回復を得たときにはそこから控除することとする(例えば,印紙代などの実際に費消した費用はその都度請求することはしないし,現実の返金ないし賠償が得られていない場合には事後に請求されることもないが,現実に返金ないし賠償が得られた場合にはそこから被害者への送金額を按分計算する前に控除する。)。
2.今後の手続の進め方
現時点では説明会の開催は予定していませんが,ご要望が多数ある場合には,開催を検討します。弁護団参加ご希望の方は,おって説明資料をご送付しますので,以下の電話,またはメールアドレスまでご連絡ください。
説明資料は,ご連絡後2週間後を目処に送付します。
当弁護団に委任して被害回復手続を採りたいと考える場合には,説明資料をよく読んだうえ,関係書類を当弁護団事務局宛ご送付ください。
〒100-0012
東京都千代田区日比谷公園1-3
市政会館地階 あおい法律事務所
リソー教育株主被害弁護団
TEL 03-3501-3600 FAX 03-3501-3601
riso-bengodan@aoi-law.com
申込手続を了する期限は,平成26年4月末日(必着)ころを予定しています。
来所は歓迎しますので,直接来所して説明等を受けることを希望される場合には,事前に連絡の上,ご来所ください。
3.その他の注意事項
遠方の方も負担なく参加できるようにしますが,訴訟等のために個別に事情を聞く必要がないではありませんし(本件では個別性はあまりないとは予測していますが),関係資料の提供や有益であると考えられる情報の提供は積極的にお願いします。
家族等に内緒にされている場合には,法律事務所の名称の入っていない封筒を用いるなどの配慮をしますが,そもそも民事訴訟手続は公開の手続でもあるから,依頼していることが絶対に他人に知られないという保証はできないことをあらかじめご了承ください。
なお,相手方がある問題でもあり,ここでは微妙な問題を含む部分については十分な記載ができないこと,本人確認が必ずしも十分ではない電話による問い合わせには必ずしも詳細を告げることができない場合があることを予めご了承ください。