国際的な基準金利であるLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を不正に操作していたという事件が発覚し,各メディアを賑わせています。
バークレイズ銀行は,LIBORを算出するにあたって,その基礎となる金利を申告する際に,実勢とは異なる水準を提示していたとのことです。
LIBORはデリバティブ取引を行うにあたっても,重要になる指標で,これを故意に操作していたということになれば,デリバティブ取引という名の元に「インチキ賭博」を行っていたものと言わざるを得ません。現在,デリバティブ取引の数量が膨大になっていることからすると,その影響は計り知れません。
金融機関は,LIBORを不正操作することにより,巨額の利益を上げることができますから,不正操作をしたいというインセンティブが働くことは明らかです。しかし,LIBORは,複数銀行が提示する金利の上位・下位の4行を除外して,平均した値を用いているとのことですから,一つの金融機関のみが不正なレートを提示してもLIBORに影響はでません。したがいまして,LIBORの不正操作については,他の金融機関も関与していた疑いがあります。
このような観点から,今後も不正操作に対する追及が続くと考えられますが,いずれにせよ不正操作に対して強いインセンティブが働く以上,これを非難するだけでは問題は解決しません。今後,不正操作ができないシステムをいかに構築していくのかが重要な課題となります。