16.アイ・エス・テクノロジーほか
(121ファンド関係)

(1事件:東京地方裁判所平成25年11月13日判決,東京高等裁判所平成26年7月10日判決,2事件:東京高等裁判所平成26年9月17日判決,東京地方裁判所平成25年11月28日判決)

1事件:
 121関連ファンド商法(FX自動売買ソフト商法)において資金の受け入れ先となっていた業者が,自社は収納代行業者として,クレジットカード発行事務の委託を受けてこれに伴う受送金を行っていたに過ぎないと主張したのに対して,本判決は,関連証拠を精査し,121商法の資金収集の一端を担っていたと認定して業者及び役員らの損害賠償責任を認めた。
 また,本判決は,121商法の「ナンバー2」を特定して責任を認めているが,証拠を多角的かつ詳細に検討して事実認定をしており,極めて説得的である。
 控訴審判決も,新たに事実を付加して,1審の判断をより説得的に敷衍して控訴を棄却した。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(1審判決,業者ら控訴)
⇒金融・商事判例1433号金判SUPPLEMENTvol.62
⇒先物取引裁判例集70巻143頁
判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(控訴審判決,控訴棄却)
⇒先物取引裁判例集71巻264頁

2事件:
  121関連ファンド商法(FX自動売買ソフト商法)において資金の受け入れ先となっていた収納代行業者について,上記1事件と原告を異にする事件で,原判決は収納代行業者及びその役員らに対する請求を棄却したが,本件控訴審判決ではこれを取り消し,「収納代行業者の代表取締役であるKは,…違法な詐欺商法である121商法に利用されることを認識し,又は少なくとも容易にこのことを認識することができたにもかかわらず,本件送金口座を顧客からの送金先とし,本件送金口座に送金された金員を指定された121FX名義又は121BANK名義の預金口座に送金していた者と認めるのが相当である」として,収納代行業者及びその役員らに対する第1審原告の請求を全て認容した。
 なお,原判決は,121商法の「ナンバー2」を特定して責任を認めていたが,「121商法の運営や拡大に関する意思決定に対して首謀者と同様あるいはそれに次ぐ影響力を有していたと推認することができることは,原判決が詳細に説示するとおりであって,原判決の(ナンバー2)…の121商法の運営等に対する影響力の認定について,何ら不合理な点はない。」として,その判断を本件控訴審判決も維持している。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(控訴審判決,1審棄却部分について取消,請求認容)
判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(1審判決,一部認容,一部棄却,棄却部分について被害者ら控訴)
⇒消費者法ニュース101号319頁

1.アトランティック・ファイナンシャル・コーポレーション
(東京地方裁判所平成20年7月16日判決)
ロスカット・ルールに関する重要な初判断 2.ワイジェイFX(旧サイバーエージェントFX)
(東京地方裁判所平成26年6月19日判決)
強制解約・キャッシュバック金の不払いに関する初判断 3.アルファエフエックス
(東京地方裁判所平成22年4月19日判決)
区分管理を怠った業者の役員らの責任に関する判決 4.幸せwin,大橋ひかる,マネースクウェアジャパン
(東京地方裁判所平成20年10月16日判決)
アフィリエイトに関して,FX業者の責任も肯定したもの 5.コメックス
(東京地方裁判所平成22年5月25日判決)
認知障害により取引状況などを再現できない事案において参考になる 6.シー・エフ・ディー
(東京地方裁判所平成18年4月11日判決,東京高等裁判所平成18年9月21日判決)
私的差金決済契約の違法性を初めて正面から認めた東京高裁の判断 7.リベラインベスティメント
(東京地方裁判所平成24年2月24日判決)
関連会社への資金流用などに関するもの 8.東京シティホールディング
(東京地方裁判所平成19年1月30日判決)
FX業者の区分管理責任に関するもの 9.ハーベスト・フューチャーズ
(東京地方裁判所平成17年7月12日判決)
公設の先物業者が行っていた外国為替証拠金取引について取引自体を違法であると判断したもの 10.日本エフエックス
(東京高等裁判所平成18年11月29日判決,東京地方裁判所平成18年6月8日判決)
外国為替証拠金取引業者の区分管理の義務,小会社の監査役にも責任を認めたもの 11.ICC,インターナショナル・カーレンシー・チェンジャーズ
(東京地方裁判所平成17年10月17日判決,東京地方裁判所平成18年4月27日判決)
かつての外国為替証拠金取引商法被害事案 12.キャピタルベネフィット
(東京地方裁判所平成17年11月11日判決)
かつての外国為替証拠金取引商法の仕組み自体の違法性を早い時期に指摘したもの 13.リベラインベスティメント
(東京地方裁判所平成17年2月1日判決)
外国為替証拠金取引業者が清算金の返還すら拒んだ事例 14.サンワ・トラスト
(東京地方裁判所平成18年1月24日判決,東京地方裁判所平成18年8月30日判決)
後付けで取引をした外観を作出して金銭を騙取するという著しく悪質な事案。和解合意の効力について「権利の濫用」を理由に否定している珍しい例 15.日本エフエックス
(東京地方裁判所平成19年1月24日判決)
外国為替証拠金取引の取引自体の違法性を端的に指摘するもの 16.アイ・エス・テクノロジーほか(121ファンド関係)
(1事件:東京地方裁判所平成25年11月13日判決,東京高等裁判所平成26年7月10日判決,2事件:東京高等裁判所平成26年9月17日判決,東京地方裁判所平成25年11月28日判決)
収納代行業者であると強弁した業者や,詐欺商法のナンバー2の地位にあった者の責任を正しく指摘するもの 17.有限会社リンク(121ファンド関係)
(東京地方裁判所平成24年4月23日判決)
中間代理店の過失を取引の荒唐無稽さから導いたもの 18.エイ,Truth Company(121ファンド関係)
(東京地方裁判所平成25年1月21日判決)
121ファンド商法の主要な代理店であった業者らの責任 19.エスペイ(121ファンド関係)
(東京高等裁判所平成24年12月20日判決,東京地方裁判所平成24年6月22日判決)
過失相殺をした1審の判決を取り消した控訴審判決