1.口座提供者の責任の範囲

(東京地方裁判所令和6年6月6日判決)

SNSからラインに誘導する投資詐欺被害事案においては、ほとんどの裁判官が口座提供者らに原告が被った損害全部の賠償を命じているのが現状であるが、多くの判決は公示送達による送達を経たり、被告の欠席により終了するなどするいわゆる調書判決によるものとなっており、対席判決はあまりなされる機会がない。

 対席判決において当たり前の判断を「氏名不詳者らは、被告会社名義の口座を含め複数の口座を利用することによって詐欺行為を容易にしており、被告Bは本件口座④を提供することにより、氏名不詳者らによる詐欺行為全体を幇助したものといえる」と簡潔に示しており、参考になろう。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(確定)

1. 口座提供行為者の責任の範囲
(東京地方裁判所令和6年6月6日判決)
特殊詐欺事案において、騙取金の送金先口座名義人に対して、犯行全体によって原告に生じた損害の賠償を命じた事例 2. 口座提供行為者の責任の範囲
(東京地方裁判所令和4年1月27日判決)
特殊詐欺事案において、騙取金の送金先口座の名義人の損害賠償責任を、口座への送金額に限定せず原告の被害全額について認めた事例 3.ミニッツカンパニー
(東京高等裁判所平成25年4月24日判決)
犯罪資金の連結関係のある口座名義人に犯行全体によって生じた損害の賠償を命じた事例