2.ミニッツカンパニー

(東京高等裁判所平成25年4月24日判決)

 当該被害者が送金した犯罪利用口座に資金を移転していた資金移転「元」口座の名義人に対する損害賠償請求を棄却した原判決が取り消され,同請求が控訴審で認容された事例。控訴審判決は,「本件詐欺の態様は,未公開株詐欺の被害者を狙い,当該被害が回復できるものと誤信させて金員を詐取するものであるところ,これに相互間に資金移動がある複数の預金口座が振込先の預金口座や同口座からの資金の異動先の預金口座として利用されていることをあわせて考慮すれば,訴外人らは,多数の預金口座を利用して,本件詐欺以外にも相当数の同種詐欺を行い,詐取した金員の移動を行い,犯罪収益の仮装又は隠蔽を行っていたものと推認することができる。さらに,ミニッツカンパニーの口座は,本件詐欺により詐取された金員の移動には関係していないものの,訴外人らの同種詐欺行為に利用されていたものと推認することができる。そうであるとすれば,ミニッツカンパニーは,本件口座を訴外人らの詐欺行為のために利用させることによって,本件犯行を含む同種詐欺の犯行全般に加担していたものと認めることが相当である。」として損害賠償請求を認容した。

 口座間で資金を循環させながら資金の隠匿を行う組織的詐欺商法において,直接の資金振込先はもちろん,資金移転「先」であっても,資金移転「元」であっても,犯行全般に加担しているということに変わりはない。この点を看破した判断が控訴審で示されたことにより,この点について迅速・適切な判断がなされ,被害回復につながることが期待される。

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(原判決取消し,請求認容,確定)
⇒先物取引裁判例集69巻231頁

判決PDFAdobe_PDF_Icon1.svg(請求棄却,被害者側控訴)
⇒先物取引裁判例集69巻218頁

1. 口座提供行為者の責任の範囲
(東京地方裁判所令和4年1月27日判決)
特殊詐欺事案において、騙取金の送金先口座の名義人の損害賠償責任を、口座への送金額に限定せず原告の被害全額について認めた事例 2.ミニッツカンパニー
(東京高等裁判所平成25年4月24日判決)