ワインファンド被害集団訴訟と詐害行為について

1.ワインファンド被害集団訴訟について

平成27年12月25日,関東財務局より,株式会社ヴァンネットに対し,第2種金融商品取引業にかかる関東財務局長(金商)第1577号の登録の取消し,及び業務改善命令にかかる行政処分が行われました。

これを契機として,同社が組成した各ファンドに出資している投資家から被害回復等の手続をとることに関する問い合わせが寄せられ,これを受けて弊所では,同社の役員ら等に対し,集団的に損害賠償請求等の被害回復手続を受任することとしました。

平成28年3月7日,株式会社ヴァンネットは,破産手続開始申立てを行い,同日,同社に対し,同開始決定が出されています。

弊所では,現在20名を超える被害者の委任を受け,株式会社ヴァンネットの破産手続開始前後にわたり,既に関係者らに対するいくつかの法的手続を経ていますが,今後もしかるべき法的手続を採っていく予定です。

 

2.詐害行為・詐害行為取消権について

民法424条1項では,詐害行為取消権を定めています。これは,ある者(法人,個人を問いません。)が,ある者(債権者)に対して債務を負っているにもかかわらず,第三者に対し,その保有する財産を譲渡・贈与したり,不動産に抵当権を付したりした場合,債権者が,当該譲渡,贈与,抵当権設定行為を詐害行為としてこれを取り消し,債務者の責任財産へ戻すことができるという権利です。

例えば,(他にも要件を充たす必要がありますが,)ごく簡単に説明しますと,A(債務者)がB(債権者)に損害賠償債務を負っているにもかかわらず,AがCからお金を借り入れ,?自己所有の不動産にC(転得者)のために抵当権を付したり,?AがCに対し,自己所有の不動産を譲渡するような場合がこれにあたります。

ファンド商法の破綻等に際しても,関係者がその保有する財産を処分したりすることが見られることがありますが,かかる行為は,このような詐害行為に該当する可能性があります。詐害行為取消訴訟が提起された場合,財産の転得者(C)は,当該契約が債権者(B)を害することにつき善意であったことの立証責任を負いますから,債務者(A)からの財産の取得は,極めて危険というべきでしょう。

 

【参加申込については,平成28年4月15日(金)に問い合わせいただいた方までとさせていただきます。ご了承ください。】