【今月の1枚】
「音速の壁を超えろ!」 北陸新幹線E7系 上田-佐久平
1 レセプト債関連会社の破綻について
レセプト債関連会社の破綻に関する事象は極めて重要な事柄です。
12月3日掲載のブログを参照下さい。
2 ファンドまがい商法の考え方
11月に全国先物取引被害研究会が開催され,そこで荒井先生と一緒に,「ファンドまがい商法の立証上の工夫」というタイトルで話しをさせて頂きました。
その後,複数の先生から,そのことについての質問を受けました。
意外と同じ点で悩まれている先生は多いのだなという感想です。
そこで,何回かに分け,今自分が考えているファンドまがい商法の立証上の工夫について,話をさせて頂こうと思います。
まず,ファンド商法の事案で,迷うのが立証の対象(目標)だと思います。
一番良いのは,全くの架空取引だと立証できることですが,その立証のハードルは高く,また,全く架空取引であるという事案は必ずしも多くはなく,何らかの取引を行った形跡があるのが一般的です。
では,その様な場合,まず,立証命題(立証目標)をどのようにに考えるべきか。
この点については,東京高判平成23年12月7日・判タ1380号138頁,先物取引裁判例集64巻374頁が参考となります。
同裁判例は,「本件各ファンドは,出資者から集められた金員が外国債券の購入などによって運用されている事実自体確証がなく,仮に当該事実が認められるとしても,投資を行うものに適正に損益を帰属させることを目標として,組成され,管理されていたのではなく,出資者から申込手数料や管理報酬等の名目で金員を徴取してOCS関係者において利を図ることを意図して組成され,運用された,投資を行うものの利益を損なう金融商品として不適正なものであったと認めるのが相当である。」と判示しています。
そして,同裁判例は,そのような商品を,「金融商品まがいの商品」であるとしています。
つまり,仮に,全く架空取引ではなかったとしても,金融商品取引といえるには,その取引から生じる損益が,投資した者に適切に帰属させる実質を備えているものでなければならないとしているのです。
そうすると,「取引から生じる損益が,投資した者に適切に帰属させる実質を備えていない商品」(=金融商品まがい商品)であるということが立証の目標ということになります。
では,次に,どのような場合に,「取引から生じる損益が,投資した者に適切に帰属させる実質を備えていない」といえるでしょうか。
この点についても参考になる裁判例が複数ありますが,その一部を列挙してみます(いずれも弊所HPに掲載されているので詳しくはそれらを参照下さい。)。
①東京地判平成24年9月14日・先物取引裁判例集66巻408頁
②東京地判平成24年4月24日・先物取引裁判例集65巻338頁
③東京地判平成27年3月26日・先物取引裁判例集73巻69頁
これら裁判例は,以下の事実を違法性を基礎付ける事実として挙げています。
・出資者に説明した資金運用の基本的枠組みを逸脱した運用をしていた
・今日に至るまで運用の実態は全く明らかにされない
・出資金が1円も返金されない合理的な理由が説明されない
そしてこれらの判断の背後には,「伝えられていた利益を出すことが経済常識に照らしてあり得ない」といった事情があることも見逃すことはできません。
以上をまとめると,以下の様になると思います。
【規範】
金融商品取引といえるには,その取引から生じる損益が,投資した者に適切に帰属させる実質を備えているものでなければならない
【それらを基礎付ける事実(獲得目標)】
①出資者に説明した資金運用の基本的枠組みを逸脱した運用をしていたこと
②伝えていた利益を出すことが経済常識に照らしてあり得ない
→例えば,出資者には月5%(年間60%)を恒常的に出すと伝えて10億円集めた。しかし5億円しか出資にまわしていない。そうすると,資金を年間3倍以上にし続けなければ成り立たないことになるが,そのような投資話はおよそあり得ないといった経済常識
③今日に至るまで運用の実態は明らかにできない
④出資金が1円も返金されない合理的な理由が説明されない
次に問題となるのが,その立証方法ということですが,これについては次回,話したいと思います。
3 今月の1枚
10月,11月と「今月の1枚」を続けてきたので,この企画を続く限りは続けたい。
今月は,この3月に開業した北陸新幹線からの1枚(+1枚)。
この列車,事務所内でもゆかりの深~い列車となりました。
新幹線はいつの時代も子どものアイドルですね。
新幹線否定派の大人(自分)から見ても躍動感があって,なかなかかっこよいですね。
今度は縦のアングルで。
でも,新幹線は,いかん,いかん!