弊所弁護士は,金融商品被害を中心に取り扱っており,それぞれ年に2回開催される先物取引被害全国研究会,全国証券問題研究会などに参加しています。
上記研究会において研鑽を積むのと同時に,各研究会は全国各地で開催されることから,懇親会等を通じて各地の先生との交流を深めることも目的となっています(もちろん各地の料理も楽しんでいます。)。
先日,9月2日,3日に札幌で開催された全国証券問題研究会では,被害が続出しているデリバティブ取引を中心に研究,報告がされました。私も自分が主担当として活動した裁判事例について1時間ほど報告をしましたが,制限時間を超えても質疑・応答がされるなど,問題に対する各地の先生方の強い熱意を感じました(研究会は全国各地の先生のパワーをもらう場所でもあります。)。
デリバティブが内包された金融商品においては,そもそもリスクとリターンの均衡が取れておらず,商品特性を完全に理解していれば購入する投資家はいないというべき商品が数々存在します(金融機関は金融工学を駆使してこのような金融商品を組成することが容易に行うことができます。)。加えて,このような複雑な金融商品については,これを販売する金融機関の従業員でも,そのリスクを十分に理解していない場合があります。
昨年以降,金融庁もデリバティブ取引に対しての規制を強化し,自主規制機関である投資信託協会も,「一定の顧客にとって投資対象としての合理性を有するものであることを事前に検証し,合理的根拠に基づき適合する顧客が想定できないものは取得の勧誘を行ってはならない。」(合理的根拠適合性)旨の規則を定めるなどしています。
このような規制が策定されるということは,逆にいえば,上記にいう合理的根拠適合性を欠く金融商品が少なからず存在するという現状を認めるものであるといえます。私は,このような金融商品を一般投資家に対して販売することは許されないと考えており,実際に諸外国ではデリバティブが組み込まれた金融商品の一般投資家に対する販売を禁止しているところが少なくありません。
(弁護士太田賢志)