未公開株商法を行っていた株式会社H4O(発行会社,現:株式会社健康堂)とその取締役らに対する請求が原審で認容された事件について,今般相手方らの控訴が棄却されました。
判決概要
判決言渡日:平成24年2月29日
裁判所 :東京高等裁判所第11民事部 裁判官 岡久幸治,三代川俊一郎,杉原則彦
相手方 :H4O,代表取締役,取締役2名
控訴人らは,「原審の訴訟追行を行った弁護士は未公開株業者が連れてきた者で,その弁護士とは連絡を取っていなかった。」などと主張し,控訴人らは控訴審において新たな主張,立証を行い,控訴審での尋問も行われた事件です(原審では尋問は行われていません。)。
控訴人らは,出資を受けるためにH4O社の株式をベンチャーキャピタルに譲渡したにすぎず,違法な未公開株商法を行ったのは株式の譲渡先(とH4Oの従業員1人)であり,控訴人らは未公開株商法に関係していないと主張しました。
しかし,控訴審判決では,控訴人が譲渡先であるというベンチャーキャピ タルの名称すら明らかしないこと,株式の譲渡代金は総額で億単位の金額であるにもかかわらず領収証すら発行していないこと,発行会社に対して多数寄せられたクレームに対して発行会社がしかるべき対応をしていないこと(警察への届出,犯罪利用口座の閉鎖)などの事実から,控訴人らは詐欺的な未公開株商法を認識・認容していたと判示しました。
また,取締役責任については,H4Oが社員が少ない小規模な会社であり,頻繁にかかってくるクレーム電話の存在などにより,違法な未公開株商法の問題が生じていることは容易に認識できる状況であったのであるから,非常勤の取締役であったとしても取締役責任を免れることはないと判示しています。