さて,現在スピーシー関連スポーツブックアービトラージ詐欺商法の集団訴訟の準備中ですが,また得体の知れない詐欺商法について集団訴訟の相談を受けました。
株式会社Quess Paraya(クエスパラヤ)という会社(代表者は伊藤こと)が,何に投資するなどと明確に言うこともなく高率の配当を喧伝して資金集めをしていたという事件です。今年の3月から配当及び償還がなされなくなり,その後,クエスパラヤから,実はエターナルファンド株式会社という会社に「貸付」をしていたが,エターナルファンドから支払がなされなくなったのだという説明がなされた,というのです。このような手口は,ハヤシファンドやPRJファンドなどと同じで,よくある手口です。
さて,クエスパラヤらは,出資を募る際,「運用会社を複数に分散し,リスクを分散する」,「運用先の資金の合計が70パーセントを割りそうになった場合は,運用状況を確認する」等と称して資金を集めていたようですが,実際は,エターナルファンド一社に「貸付」を行っていただけであるということになれば,出資の勧誘に際し明らかに虚偽の事実を告げたことになりますし,上記「貸付」を投資としてしたのであればエターナルファンド社の信用リスクをもろにかぶりますので,そのような投資方法がそもそも適当といいうるかは措くとしても,少なくとも「運用会社を複数に分散し,リスクを分散する」,「運用先の資金の合計が70パーセントを割りそうになった場合は,運用状況を確認する」との上記説明と明らかに矛盾することになります。
また,クエスパラヤとエターナルとの間の上記「貸付」は月利2%,時期によって3%という約定になっており,それ自体利息制限法に違反する内容ですから,正常な「投資」であると評価しうるものでもないでしょう(法律上,元本が1000万円以上ならば,年15%を超える部分は無効ですから,無効な約定を前提に,それを上回る高率の配当を投資家に支払うというのは,正常な金融商品取引の範疇を逸脱しています。)。また,場合によっては,出資法5条第2項に違反する可能性もあります(同条項に反する行為は5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し,又はこれを併科される犯罪行為です。)。
なお,上記両社は適格機関投資家等特例業者としての届出をしていますが,その実質を欠いているところ(被害者のほとんどが素人です。),つい先日,業務の実態から適格機関投資家等特例業務の届出があっても,実質的には無登録営業となっていると認定し,金商法171条の2の無登録無効の改正趣旨から業者らの行為が不法行為になるとして損害賠償を命じた判決があったばかりです(京都地判平成24年4月25日)。
被害回復手続としては,送金口座の履歴を調査していき(裁判所から調査嘱託を発してもらうことになります。),これによって資金の流れが把握されれば,虚偽の説明がなされていたことは容易に認定され,両社及びその両代表者の責任は肯定されることになるでしょう。エターナルファンドから先の資金の流れが判明すれば,現在は表に出ていない「真の悪者」が見えてくるかもしれません。