犯罪インフラの撲滅へ

私は最近,準備書面のなかで犯罪インフラという言葉をよく使っています。

犯罪インフラとは,犯罪を助長し,又は容易にする基盤のことをいいます(大阪府警察のHP等に詳しい解説があるのでご覧ください。)。例えば,他人名義携帯電話や他人名義の預貯金口座などが代表例です。詐欺商法において勧誘の電話を架けるのに携帯電話等の連絡手段は必須ですが,仮に自分で契約した携帯電話を使えば,弁護士や警察によって容易に使用者を追跡され,刑事手続き等の適正な処分が下され,違法収益も剥奪されます。そこで他人名義の携帯電話を使うことで,匿名性を高め,追跡を阻止することできるため,他人名義の携帯電話は犯罪に不可欠のツールとなっているわけです。

そのような「需要」があるものですから,犯罪インフラの提供を商売としている不埒者がいます。明確に犯罪への提供を意識していなくとも,それを十分予見し得たのに漫然と提供する者も大勢います。

犯罪インフラは上記のような効用を持つものですから,逆にそれを安易に利用できなくさせることができれば,詐欺商法等を予防することができます。そのため近年では犯罪インフラの撲滅は社会的な使命となり,犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法といった各種法規制がされ,全国の警察が犯罪インフラ撲滅に向けて取り締まりを強化しています。

このような社会情勢のもと,犯罪インフラを漫然と提供する者らが何ら責任を負わずに放置されていいはずがありません。

というわけで,弊所では色々な犯罪インフラの提供者の責任を問うてきました。私もそのための裁判をいくつか抱え,色々な準備書面に犯罪インフラと記載してきたのです。そして,最近ようやく大きな勝訴を一つ得ました。

東京地判平成26年12月25日です(先物取引裁判例集に掲載できたら,と思っています。)。

これは詐欺商法に携帯電話を提供した個人の責任を認めたものです。携帯電話の貸与業者と異なり個人は携帯電話不正利用防止法で直接厳格な本人確認義務が課されているわけではありませんが,同判決は同法制定の背景や趣旨を正解し,「自己の契約名義の携帯電話を第三者に貸与等するにあたっては,貸与者は,携帯電話の貸与の態様に応じ,当該貸与に係る携帯電話が不正に使用されないよう一定の措置を講ずべき法的義務を負い,これに反して必要な措置を講じなかった結果当該携帯電話が不正利用された場合には,少なくとも当該携帯電話の不正利用を過失によって幇助した者として,共同不法行為者としての責任を負う」としました。このような考え方は,携帯電話不正利用防止法の射程の外になってしまっているIP電話の提供者等にも敷衍しうる可能性を秘めていると思います。

なお,同判決については被告が控訴し,当方もとある部分が不服だったので控訴しました。何とかより良い形で判決を勝ち取るつもりです。

 

 

 

 

※最近の水槽

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ヒドラの襲来,黒髭ゴケの発生,ヒーターカバーに挟まれる魚等色々な問題は生じましたが,今は水槽のジャングル化が悩みです。トリミングで済ませるか,いい加減ちゃんとしたレイアウトを考えるか。。。

……ヒドラ襲来。水槽をやらず,かつ生物の授業が忘却のかなたの人はびっくりするワードかもしれません。怪獣でもきたのかと。首がちぎれてもすぐ再生する多頭のドラゴンのような。実際は体長5ミリ程度の淡水生のイソギンチャクみたいなものです。首がちぎれてもすぐ再生するのは本当なので駆除が大変で,ある意味怪獣です。ギリシャ神話に登場する多頭の怪物ヒドラが名前の由来なんでしょうが,由来に恥じぬ厄介者です。助けてヘラクレス!