1:日々の業務で思うこと+2:僕の北斗星最終日【その②】

1 日々の業務で思うこと

 幇助的態様の関与者の責任

 ここ数年,自分の中では大きな課題として取り組んでいるテーマの一つです。
 首謀者らとは違うが,違法な商法へ不可欠な道具を提供した者の責任は,裁判所に認めさせることがなかなか難しい分野です。

 争点は主に過失の有無ですが,予見可能性の有無,課せられる注意義務の具体的な内容等,その立証も含め,いつも悩まされますし,常に工夫が求められる分野です。
 予見可能性に関連しては,道具の社会的有用性はあるのかという議論が戦わされたりします(使用された道具は,「包丁」か(危険だが社会的有用性が高いものの例え),「モデルガン」か(危険であり社会的有用性が限定的と考えられるものの例え)という例えで議論がなされたりもします。)。

 現在,そのような裁判を複数担当していますが,そのうちの一つが佳境を迎えています。
 進行中の事案なので,詳しい内容はいえませんが,見次先生と出張の帰りに飛行機やモノレールの中で準備書面を検討したり,必要となれば見次先生と二人で就職関連雑誌を片っ端から調査したり,23条照会に関して弁護士会と侃々諤々の議論をしたりと(これも見次先生とやりましたね?),何かと思い出の多い事件でもあります。

 最後の一踏ん張り,活路切り開ければと思っております。

2 僕の北斗星最終日【その②】

 本日,荒井先生から,「【その②】が気になるよ。」と言ってもらい,気分よくなってしまった自分は,【その②】を書くことにしました。
 荒井先生は優しいです,ありがとうございます。

 時は,平成27年8月22日 午前4時
 場所(露営地)は,北海道は礼文華海岸
 周囲の状況:人家:0,エゾシカ,キタキツネ:多数,熊:少々(以上,予想値です)

 最悪の寝心地であったカーマルヨ(車中泊)から目覚めると,空は既に明るくなり始めています。
 そして,辺りを見回すと既に数台の車が…,同業者(撮り鉄)が既に現れているではないですか,恐るべし撮り鉄!?(あっ,僕もです。)。
 
 朝の身支度を済ませ,めちゃくちゃ重いカメラと三脚を背負い,急斜面を登って撮影地に向かいます。

 この日のターゲットは二つ。
 一つは,上野発最終下り北斗星札幌行き
 もう一つは,本当に本当に最後,札幌発最終上り北斗星上野行き

 まずは,上野発最終下り北斗星札幌行きをここ礼文華海岸の波打ち際で迎え撃ちます。
 下り最終は,ここトンネル二つをぶち抜いて,首をかっくんと振った北斗星と決めていました。

 急斜面を登り撮影地に到着,すると,来るわ,来るわ,次から次に同業者が(ただ今午前4時台)。
 関西や関東から来たなんていうのは序の口で,仕事していたらやはり我慢できなくなり九州から仕事を切り上げて最終の飛行機で来たという人も。
 なかには,21日夕刻に上野を発車した北斗星を関東で撮影し,その後,最終の新幹線と急行はまなすを乗り継いで北斗星を追い越して,北海道に入り長万部に深夜3時に到着,そこからタクシーで来たなんて人まで(君は,西村京太郎か!?)。
 そんな愉快な仲間達で狭苦しい撮影地は満員御礼。
 
 最近は,鉄道撮影に女性の方を見かけるようになりましたが,今回はコア過ぎる撮影地なので,さすがに女性は0(人),男臭い全開路線の撮影地です。
 狭苦しい場所に,みんな何とか撮れるようにと男同士がみんなでギューギュに寄り添って場所を確保(端から見るとさぞ気持ち悪い,いや滑稽でしょう),最後ですもんね,みんなで一発決めましょう!
 自分はというと,超マイナス思考の人(「どうせ本番前は曇るんですよ。」とずっとつぶやいている人)と超プラス思考の人(「俺は晴れ男だぜ。」と連発している人)の間に挟まれて,一方には「何とかなりますよ,信じましょう!」と言い,一方には「それは心強ですね!」と相槌を打ちながら,朝4時から9時通過の北斗星を待ちます。

 通過10分前,東の空の雲から太陽は完全に抜けきり,舞台は完全に整った,さあ来い北斗星!

 いよいよ列車接近を知らせる警報が当たりに響くと臨戦態勢(超マイナス思考の人も超プラス思考の人も,やっと静かになりました!)。
 奥のトンネルに2灯の前照灯が見えたと思うと,「ゴゥオ?!!,ゴゥオ?!!」,辺りは重連機関車の大地を揺るがす轟音で,波の音もかき消されます。

 そして,手前のトンネルを抜け,北斗星が首を振って最高のポーズを決めた時,行け?!

20150910-1

北斗星 礼文-大岸

 下り最終北斗星は,いつものように,いつもの姿で,少しだけ名残惜しそうに駆け抜けていきました。
 一同,その美しいブルーにしばし沈黙,そして彼方に北斗星が消えると,最高の一枚に感動の握手!

 しかし,普段通りの北斗星の姿に,自分は思わず,

 五反:「また明日もやってきそうですね…。」

 同業者(鉄):「きっと明日もまたやってきますよォ!」(涙,涙…)

 もう抱き合わんばかりに,鉄オタ全開(僕は感動)の会話をかまして,下り最終北斗星の撮影は終了。

 次は,本当に最後の最後の北斗星,上り上野行き,まさに伝説の最終列車,さあ,どこで撮る。

 この日の日の入りは午後6時半前後,それを考えると撮影限界は室蘭界隈ということになります。
 この時期,北斗星に乗車して上野に向かう時,車窓から室蘭から伊達紋別へ続く海岸に沈む夕日を眺めては,旅の終わりの感傷に浸っていました。
 その夕日は僕の上り北斗星の象徴の一つ,「もう,ここしかない」。

 最終の舞台は室蘭の先の黄金海岸,晴れて定刻に北斗星がやってくれば,夕日に照らされ金色に輝く北斗星が決まる!

 そんな思いで現地に行ってみると,同じことを考える撮り鉄が,いるわいるわ。
 通過8時間前にもかかわらず,現地は既に三脚の山でもうジャングルジム状態(笑)。
 より波打ち際のテトラポットの上にまで三脚が立っているではないですか!(この人達には後に悲劇(喜劇)が!?,この話は後ほど)
 この素っ頓狂な人達を撮るために新聞社の人まで混じって,現地はもうカオス。

 現地の住民の方も何が起こるのかと,訳が分からず,ぽか?んと眺めていました。

 場所取りをした後は,時間があるのでニセコに向かい,男臭い全開路線から一転,サラダバーのランチをみんなでわいわい食したり(あっ,もちろん会話の内容は,おしゃれな食事に合うように北斗星への熱い思いです),

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 羊蹄山を望む雄大な牧場を見学したりして(北斗星のこと考えすぎて牧場の写真取り忘れたので,過去の写真を掲載します(笑)),

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 日が西に傾く頃,室蘭界隈,黄金海岸に舞い戻ってきました。
 そして,いよいよ感動の最終列車を迎え撃つ,最終決戦が始まるのでした。

 あれ,今回で終わりませんでした(笑)。
 次回は,最終回,その願いは通じ,最終北斗星は果たして輝くのか…!?

 乞うご期待。