数か月前、弁護士を名乗って女性から金員をだまし取ろうとしたとして、ある男性が詐欺未遂で逮捕されたとのニュースがありました。
本物の弁護士が突如現われて、男に登録番号を聞き、答えられずに狼狽している姿が、2、3日の間、テレビで繰り返し放送されていたので、ご記憶の方も多いと思います。
弁護士というのは、それぞれ登録の時に、登録番号をもらいます。この登録番号というものは、弁護士各人に一つ、割り当てられるものです。これはもう、名札のようなもので、弁護士が自分の登録番号をそらで言えないということは、登録1日目の新人弁護士でもない限り、通常はあり得ないことです。
本物の弁護士なのかどうかは、ご自分でも調べることができます。日本弁護士連合会(日弁連)のHPのトップページの「弁護士を探す」というバーをクリックすれば(2011年10月11日現在のトップページのデザインでは、右側「法律相談ガイド」の下にあります。)、弁護士を検索することができます。ここでは、名前(漢字・かな)はもちろん、登録番号や、弁護士会単位でも検索することができます。すべての弁護士は、ここから検索することができ、ここにヒットしない名前の方は、弁護士であると名乗る資格を持っていないということになります。
未公開株・社債取引まがい詐欺等の詐欺的商法においても、弁護士を騙る者が登場する場合があり、「企業内弁護士だから」等と言って、この検索にヒットしないことの言い訳をすることもあるようですが、企業内弁護士であっても、弁護士登録をしている者(=弁護士と名乗る資格のある者)は、すべて、あまねく、必ず、日弁連に登録しているのであり、システムトラブルか何かの手違いでもない限りは、上記の検索システムで名前が出てくるのです。
これは、法律事務所では当然のことなのですが(相手方代理人の先生の電話番号等の情報をここで調べたりすることもあります。)、意外と一般に浸透していないことのようなので、この場を借りて、お話しさせていただきました。
ですから、あやしい「弁護士」がいたら、以下のことを聞いてみてください。これらは弁護士であればすぐに答えられることです。
そして、日本弁護士連合会のHPで、検索をしてみてください。慎重を期する方は、各弁護士会に問い合わせしてみてもよいと思います。
「フルネームは?漢字はどうやって書くのですか?」
「登録番号は何番ですか?」
「弁護士会はどこですか?」
「修習期は何期ですか?」
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実在する弁護士の名前を騙る者も、いるかもしれません。
ですので、日弁連のホームページでその弁護士の名前がヒットしたら、そこに表示されている住所や電話番号を確認してみてください。そしてその電話番号に電話し、本当にその弁護士がそのような業務を行っているか、確認してみてください。
弁護士としても、自分の名前を騙って仕事をしている人がいたら、不名誉であるばかりか、業務妨害にもなり得ることですので、事務所として、きちんと回答してくれると思います。
弁護士を騙った詐欺は、昔も今も変わらずあるようですが、一人でも多くの方の被害が未然に防げると良いと、願っています。
もっとも、インターネット環境をお持ちでない方には、日弁連の検索システムも、そもそも私のこの小さな一言も、届かないのが、とても、もどかしいところです。(浅井淳子)