1 適合性原則にまつわること
自分が担当した商品先物取引の事件で,合計1億円を超える損失が生じており,約8300円を既に支出し,残りについては差損金の請求を受けており,その差損金請求の担保のために依頼者の自宅が仮差押えされているという事案があります(なんてひどい話だ,と思いますがそこは冷静に。)
これは荒井先生に示唆された視点なのですが,適合性原則の考慮要素の一つには,出資者の財産状態というもがあり,投資取引については,生活に支障のない範囲で行わなくてはならないのは当然ですが,本件は,先物取引業者により,依頼者の自宅が仮差押えされているのです。
先物取引やらされて,生活の根拠である居所を失いかけているのですから,これもう間違いなく,生活に支障のない範囲を超えに超えている事案です。
法律問題以前に,はっきり言って論外です。
このような当たり前の視点,法感情ですが,つい見落としてしまいがちな時があります。
今回は荒井先生に示唆を受けてあらためて気づかされましたが,そのような当たり前の感覚と専門的な知識の両面を,法律家として日頃から意識しなくてはいけませんね。
同じ適合性原則違反つながり。
先程は,荒井先生に示唆を受けた話ですが,今度は太田先生に刺激を受けた話です。
少し前ですが,当事務所の太田先生が仕組債事件において,画期的な判決を取りました。
詳しい内容と解説は,弊所のHPにありますので,そちらに譲りますが,一つ画期的な点としてあげられるのは,適合性原則違反を認めさせた点です。
先日福岡で開催された全国証券問題研究会においても,非常に注目を浴びた判決でした。
判決は,「オプション取引のリスクの特性や大きさ、あるいはリスク評価方法も知らず、リスクを緩和するヘッジ取引をする知識も能力もない者に対し、取引の特性、リスクの大きさや評価手法も説明しないまま、将来の予想をさせただけで、プットオプションの売り取引による損失リスクを負担する取引をさせることは、証券会社と一般投資家との間の金融工学の知識の著しい格差を利用し、これを知らない投資家の無知に付け込んで利益を求めるに等しい。」と断じました。
どうですか,この認定!
仕組債の商品性について十分な理解ができないまま判決を下す裁判例も見受けられる中,仕組債の商品性について相当程度の理解を示した上で判断をしています。
非常に刺激になりましたし,自分も必ず続きたいと強く思いました。
2 やまぐち号
(僕の中で)恒例となった列車紹介のコーナー。
今回は,山口線を走る「やまぐち号」についてご紹介します。
山口線は,新山口と益田を結ぶ路線で,やまぐち号はその中で,新山口と山陰の小京都津和野を結ぶSL牽引の列車です。
皆さんもご存じだとは思いますが,去る7月28日に山口・島根両県を豪雨が襲いました。
その影響で,山口線は今も一部区間(地福?益田間)では運休が続いており,やまぐち号も現在運休中です。
山口線は,風光明媚な路線で,道中には津和野や瑠璃光寺五重塔など観光地も多く,一年を通して観光客が絶えない路線です。
地元の方々の苦労は大変なものがあると思いますが,一にも早い復旧を心から願っています。
今回は,復旧の一助になればと思い,山口線,SLやまぐち号の紹介です。
最近は,各地でSLの復活運転が行われていますが,やまぐち号は,30年を超える期間走り続けた,SLの老舗です。
SLの現役時代を知らない私などは,SLといえば「やまぐち号」なんです。
C57の1号機を先頭にレトロの列車が,山口から山陰へ向けて,険しい山道を走ります。
新山口から津和野にかけては,登り勾配が続くので,SLは豪快に爆煙を吐いて走り抜けます。
今回の写真は,そんなやまぐち号が,梅雨の季節,田代トンネルという同線区最大の難所を越えて走る姿を撮ったものです。
実はこの撮影地,えらい山奥で,そこにたどり着くのが一苦労です(でもタマネギ列車の常紋峠にはかなわないかな(笑))。
それはどんな場所かというと,まずは仁保病院跡地という廃墟の病院に向かいます(とても夜には行けない場所です…)。
それだけで随分物騒な場所ですが,そこに着くと,その後は獣道を線路のある付近へと,背丈よりも高い草をかき分けながら,ひたすら登ります。
しかも撮影に向かった日は,あいにくの雨。
体中びちょびちょになりながら登ると,途中から急斜面になり,そこには上から1本のロープが…。
なんでこんなところにロープが?と思いましたが,そのロープにしがみつきながらさらに登ります。
もうほとんど川口浩探検隊みたいな状態(気分)になりながら,急斜面を登り続けると,そこにはとうとう線路が…。
誰か先人が開拓したのでしょう。その撮り鉄魂に,とにかく感謝です。
そして,次に線路横の法面をよじ登り,撮影機材のセット。
なにせ急斜面,3回は転げ落ち,洋服はドロドロ。
雨でびしょびしょ,土でドロドロになりながら,ただただSLを待ちます。
端から見たららだの遭難者です(笑)。
待つこと1時間,すると新たな人が現れるではないですか!
恐るべき撮り鉄達!(自分も)
SL通過時には3人になっており,熊以外現れなそうな山奥で出会った3人ですから,異常な連帯感でSLを待ちます(笑)。
トンネルを抜けて,SLが現れる,キター!!!
ゆっくり,ゆっくり,大爆煙を上げて,突進してきます。
いや?,それはそれはど迫力でしたよ。
もうこれは,火事か!?というくらいの大爆煙でした。
かっこいい。
皆さんもSLやまぐち号が復活した暁には,是非乗ってみて下さい(撮りに行かなくてもよいので)!
迫力あるSLの旅に出会えるはずですよ。
タイトルに①の文字が…。
連載ものにしちゃう気です(笑)。