先週金曜日に,ブラックFX業者の役員らの責任を追及してきた訴訟の判決の言渡しがあった(東京地判平成24年2月24日)。被害は平成16年半ばから平成17年にかけて生じたものであり,業者は破産し,関係した従業員に対しても判決を得たが,いくつかの強制執行の後,破産した。
その後,業者の破産記録から,FXの証拠金として集められた証拠金が,関連会社に流され,役員報酬などに費消されていたこと,代表者の先物取引に用いられていたこと(いわゆる手張り)が判明したことから,FX業者及びその関連会社の役員らに対して,旧商法に基づく損害賠償を求めて平成22年1月に提訴したものである。
判決は,上記を認定した上,取締役は代表取締役の違法な業務執行を監視監督することなく放置し,監査役は会計監査に係る何らの措置をとることなく先物取引への流用等を放置したものとしていずれも責任を免れ得ず,役員に就任した覚えはないとか,就任していたとしてもそれは名目的なものであるなどという被告らの主張を排斥して,請求を全部認容した。
なお,被告らの一部は請求を認諾して継続的に支払をし,あるいは訴訟上の和解をして和解金を支払ったため,今回の判決は残ったのは5名の役員に対するものであった。
被告らの多くは,数千万円から1億円を大きく超える不当利得を得ていた者らである。今回の判決は,事件の発生から相当の長丁場を経て得られたものであるが,悪質な商法を行って巨額の違法収益を得た者らの責任を放置することなく,どんなに長い時間をかけてでもその責任はきちんと果たさせなければならない。