ランサーテクノロジーという,広く未公開株被害を生んだ「銘柄」がある。この種被害の例に漏れず,なかなか実態がつかめず,勝訴判決を得た後もなかなか現実の被害回復を見ないまま日時が経過していた。
ところが,およそ1000万円の被害(及び100万円の弁護士費用相当損害金)の全部について先週被害回復を完了することができた。その方法はここで開陳しても仕方がないが(現在同じ手続が奏功するとは思われない。),王道の訴訟からトリッキーな手続まで,色々と試みた。敬愛する裁判官と膝をつき合わせて議論し,有益な示唆を得ることもあった。依頼者は高齢の女性であるが,他に資産がないわけではなく,おっとりとした性格の淑女であり,被害回復にはいわばリラックスして臨むことのできる人であった。そういう事件でも,当たり前であるが,我々は淡々と手続を続ける。運も味方してくれた。
平成21年4月に相談に来られた方であるので,4年弱の年月を費やしたことになる。改めて,被害回復手続の困難さが思い出されるが,様々な工夫を凝らして被害回復を志向し続けることの大切さも改めて感じた。そうしてはじめて,運もこちらを向くものだろう。