裁判例の公刊

 先日の先物取引被害全国研究会静岡大会のブラッシュアップセミナーで紹介させて頂いた、
「金融商品まがい取引」に関する裁判例が、次号の判例タイムズで公刊されます。
(12月1日号)1380号138頁、
東京高裁平23.12.7判決[平23(ネ)5373]
 投資ファンドの違法な勧誘行為につき,販売会社の代表取締役甲と,関係会社の代表取締役乙及び取締役丙との共同不法行為の成立を認め,甲,乙,丙及び関係会社のほか,販売会社の取締役丁を含め,顧客に対する損害賠償責任が認められた事例
 
 また、同様に言及した、「詐欺商法会社の従業員の過失による幇助責任」に関する裁判例は、次々号の判例タイムズで公刊されるようです。
(12月15日号)1381号174頁、
東京高裁平23.12.7判決[平23(ネ)1635]
 会社の代表者が同社に対する出資金名下に金員を騙取した場合において,同社の従業員のうち,その業務行為があってはじめて代表者の騙取行為が可能であったということができる従業員については,当該従業員に過失が認められる以上,幇助を理由とする不法行為責任が認められるとし,その業務行為が機械的な事務的行為にとどまる従業員については,代表者の不法行為を認識し得たと認めるに足りる証拠もなく,幇助を理由とする不法行為責任は認められないとした事例

 重要なものであるとして言及した裁判例ですから、広く検討が加えられるきっかけができることはうれしいことです。是非研究者・実務家など様々な方によって深めて頂けることを期待しています。

 なお、「未公開株商法に関する第三者の詐欺構成」に関する裁判例は先号で公刊されています。間に1号あるので3号連続掲載とはいきませんでした(それでもこれだけ続くと自分で言うのも何ですが、さすがにすごいことだと思いますヮ。弁護士になったときには、10年くらい弁護士をして一度は判タなんかに載るような裁判例を獲得して実務の深化に少しでも貢献できると良いなぁと思っていたものです)。
(11月1日号)1378号150頁、
東京地裁立川支部平24.3.22判決[平23(ワ)1387]
1 民法96条2項における第三者の詐欺の事実を「知っていたとき」の意義
2 未公開株の購入に関し,購入希望者と株式発行会社との間で作成された強制執行認諾文言を含む公正証書につき,第三者の詐欺によるもので,株式発行会社も詐欺の事実につき悪意であったと認めて,購入希望者からの意思表示の取消しを認め,執行力を排除した事例